ヤマトホールディングスの株価は6日、一時前週末比5.7%安の2398円まで下落した。約7万6000人の社員を対象に未払いの残業代の有無を調査し、支給すべき未払い分を支払う方針を固めたとの報道で収益悪化懸念が広がり売りを誘った。

  朝日新聞は4日、同社が未払い残業代の支払いに必要な原資は数百億円規模に上る可能性があると報じた。フルタイムのドライバーは全員が対象になるとしている。ヤマトHDは同日、この報道について「当社からの発表に基づいたものではない」とし、詳細については現在調査中とのコメントを発表した。

  日本あすなろ投資顧問の藤井勝行ストラテジストは、未払い残業代の支払いで同社のコストが増えるとの懸念から売りが膨らんだと指摘。同社において働き方の改革がきちんと進むのかは不透明との見解を示した。

  残業の増加は宅配便取扱量の増加により夜間の再配達負担が増していることが背景にある。厚生労働省が発表した1月の有効求人倍率は1.43倍だったのに対し、宅配便のドライバーが含まれる「自動車運転」の職業従事者の倍率は2.68倍と倍近い開きがあり、配送業界を取り巻く厳しい環境を示している。

  ネット通販をめぐっては、最大手アマゾンは年会費3900円の「アマゾンプライム」会員向けには同社が発送する商品について送料無料で時間指定も可能にしているほか、プライム会員を対象にした「プライムナウ」では地区限定で有料ながら商品を1時間以内で配送するサービスも提供している。スマホを通じて消費者同士が物品を売買するアプリ「メルカリ」など新しいサービスも人気を集めており、宅配便の需要押し上げにつながっている。

  SMBC日興証券の長谷川浩史アナリストは1日付のリポートで、ヤマトHDの業績について「人手不足や労働環境改善という問題が存在しており、将来的な人件費の増加リスクがある」と指摘。「宅配便市場における労働環境の厳しさを多くの人が認識し、価格転嫁の受け入れや再配達問題に対する意識が向上することは業界として好ましいこと」との見解を示した。

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