クレジットカードから住宅ローンまであらゆる金利に影響を及ぼす13兆9000億ドル(約1582兆円)規模の米国債市場。その改革が宙に浮いた状態となっている。

  米金融取引業規制機構(FINRA)がメリーランド州ロックビルに置くオフィスでは、米国債市場の透明性向上を図る作業で忙しい。だがこの取り組みの命運を握るのが、ムニューシン米財務長官だ。元ゴールドマン・サックス・グループ幹部の同長官の判断が、米国債市場の支配をウォール街の銀行が続けるかどうかを最終的に決める。

  事情に詳しい3人の元財務省当局者によれば、2年余りに及ぶこの作業は危機にひんしている。市場改革立案者の一部は、国債の価格形成を誰にでも分かりやすくするこの作業がトランプ政権下で頓挫する恐れがあると懸念している。元当局者はもはや同省で働いていないとして、匿名を条件に述べた。

  財務省の報道官に電子メールでトランプ政権の公共的なデータの開示に関する見解を問い合わせたが、今のところ返答はない。

  財務省当局者は2014年後半以降、米ソブリン債流通市場の構造を調査し、投資家がもっと情報を得やすくする方法などを調べている。FINRAは今年7月に市場参加者からマーケットデータの収集を始めるが、今ではこうしたデータが一般投資家に恩恵をももたらす改革につながるかどうかには疑問の余地があると元当局者らは指摘している。

  国債トレーディング会社ダイレクト・マッチ・ホールディングスの共同創業者ジム・グレコ氏は、「ムニューシン長官が気に掛けず、長官も政権も市場改革に踏み込まないという大きな懸念がある」と述べた。ダイレクト・マッチは、米国債市場をがっちり掌握しているウォール街の銀行に対抗している。

  ロックビルのFINRAオフィスでは、職員が日々の米国債トレーディングデータを集めるシステムの構築を進めている。これらのデータをまずは当局とだけ共有するシステムだ。次の段階では価格データが一般に開示される可能性があるものの、グレコ氏はその実現を疑問視している。

原題:America’s Treasuries Revolution in Limbo With Mnuchin in Charge(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE