ドイツの銀行最大手、ドイツ銀行のジョン・クライアン最高経営責任者(CEO)は80億ユーロ(約9700億円)の新株発行を通じた資本増強と資産運用部門の一部新規株式公開(IPO)、リテール銀行部門ポストバンク売却計画の撤回を発表、自身の戦略展開を始めて2年弱で転換に踏み切った。

  クライアンCEO(56)は5日、「われわれが間違った方向に進んでいたと勇気をもって認めることは前進だ」と発言。この戦略シフトで自分を補佐する2人の共同副CEOを指名したが、自分は成果が出るまで見届けるつもりであり、「どこにも行くつもりはない」と述べた。

ジョン・クライアンCEO
ジョン・クライアンCEO
Photographer: Krisztian Bocsi/Bloomberg

  ドイツ銀はポストバンクを売却しない考えで、引き続き総費用を2018年までに220億ユーロまで減らすことを目指すと表明した。マルクス・シェンク最高財務責任者(CFO)と、ウェルスマネジメントとコンシューマーバンキング統括責任者のクリスティアン・ゼービング氏が共同副CEOに就任する。同社は後任CFOを「遅滞なく」指名するとした。

  クライアンCEOは評価損拡大を回避するためポストバンクの売却を図ったが、買い手を見つけられずにいた。2015年に共同CEOに就任したクライアン氏が不祥事の決着や、大きな資本を必要とする債券トレーディング業務の縮小を進める中、同行は過去2年間で計80億ユーロ超の赤字を記録している。

  クライアンCEOは従業員向け書簡で、「われわれがこの戦略推進で成功するためには強固な資本基盤が不可欠だ」と説明。新株発行により「大きな不確実性の根源が取り除かれ、当行は顧客にとって著しく魅力的な取引相手になるはずだ」と指摘した。

  ドイツ銀は今後2年のうちに実施するIPOを通じて資産運用部門の少数株を売却すると表明。資産売却と合わせて20億ユーロの資本増強に寄与する見通しだと説明した。同行は5月に1株当たり0.19ユーロの増配を提案する。

  新株発行により同行の普通株等ティア1比率は14.1%に上昇する見通しで、13%を「かなり上回る」水準という新たな目標を設定することになるだろうとした。昨年末時点の同比率は11.9%と、当時の目標値12.5%を下回っていた。
  
  ドイツ銀の発表資料によれば、新株発行の目論見書を今月20日に公表する計画。当局の承認が得られて発行が決まれば、既存株主は4月6日まで株式購入を申し込める。

原題:Deutsche Bank CEO Reverses Course With Overhaul to Raise Capital(抜粋)

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