来週の債券市場では長期金利に低下圧力がかかりやすいと予想されている。日本銀行が引き続き10年ゾーンの金利上昇を抑制する姿勢を明確に示していることが背景にある。

  今週の10年物国債345回債利回りは0.055%で開始し、一時0.05%と約1カ月ぶりの水準まで低下した。2日に入札された新発10年物の346回債利回りは3日に0.085%まで上昇した後、0.075%に戻した。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「日銀のオペを見ると、10ー20年ゾーンのイールドカーブは止めたいという意思表示は示されている」と指摘。「来週は30年利付国債入札が予定される一方で、超長期ゾーンの買い入れオペが2回入ることから、需給面での影響は限定される」とみる。

  日銀は3日の国債買い入れオペで残存期間「25年超」の買い入れ額を1000億円と前回の1200億円から減額した。一方、「5年超10年以下」は4500億円、「10年超25年以下」は2000億円に据え置いた。来週は8日に「5年超10年以下」と「10年超」、10日に「1年超5年以下」と「10年超」の買いオペが実施される予定だ。

過去の日銀オペの結果はこちらをご覧ください。

米連邦準備制度理事会
米連邦準備制度理事会
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg via Getty Images

  米連邦準備制度理事会(FRB)高官らの発言を受けて、3月の連邦公開市場委員会(FOMC)での追加利上げ観測が強まる中、米長期金利に先高警戒感が出ている。10日には米景気動向を見極める上で注目度の高い2月の雇用統計が発表される。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「米利上げ観測や、国内で30年債と5年債の入札を控えて上値が抑えられるものの、売る人もおらず、引き続き投資家の押し目買いが期待できる」と予想する。

  国内の入札では7日に30年利付国債、9日に5年利付国債がそれぞれ予定されている。発行予定額は30年債が8000億円程度、5年債が2兆4000億円程度と、いずれも横ばいとなる。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、30年債入札について、「市場では20年入札のトラウマがある」とし、「30年債の流通利回りが0.9%近くまで上がってくると買いが入りやすいが、そこから低く離れると入りにくいだろう」と指摘。「スティープニングのバイアスがかかりやすい相場環境だが、償還資金の再投資需要もあるので無難に終わるのではないか」とみる。

市場関係者の見方

*T
◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*30年債入札、流通利回りが0.9%近くまで上がってくると買いが入りやすい
*スティープニングのバイアスがかかりやすいが、償還資金の再投資需要もあるので無難か
*長期金利の予想レンジは0.055%~0.105%

*三菱UFJ信託銀行資金為替部の鈴木秀雄課長
*円債も金利上昇圧力が加わることが想定されるが、日銀の買い入れに対する安心感が下支え
*5年債入札は、もともと需給が締まっている上、10年金利を0.1%で抑える意志を日銀が示したことから、それほど動かないとみる
*長期金利の予想レンジは0.05%~0.10%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*30年入札は0.8%台後半であれば生保など投資家の需要が集まる可能性が高い
*オペが減額された5年入札も日銀がちゃんと需給を見ているので心配ないだろう
*長期金利の予想レンジは0.05%~0.10%

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*米利上げのネガティブな側面が今後出てくる可能性もあり、リスク資産から資金逃げ始めている
*商品市況の下落でインフレ期待の沈静化につながると超長期債にはプラス
*長期金利の予想レンジは0.04%~0.09%
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