国内亜鉛製錬最大手の三井金属は、ペルーの亜鉛鉱山での鉱石生産量を約2割増やす方向で検討に入った。亜鉛市況の低迷を受けて2016年1月に生産を停止した一部鉱区での操業を17年度中に再開する予定だ。亜鉛市況が約9年ぶりの高値を付け、今後も一定水準を維持するとみており採算が取れると判断した。

  三井金属の斎藤修営業統括部長が2日、ブルームバーグとのインタビューで明らかにした。増産を検討しているのは、首都リマの北方約440キロメートルに位置するワンサラ鉱山。隣接する鉱区では生産を続けており、鉱山全体を休止した場合と比べて操業再開に伴うコスト負担は抑えられる。

  三井金属は100%出資する事業会社を通じて同鉱山から40キロ離れたパルカ亜鉛鉱山も保有しているが、こちらは操業を休止している状態。

  ロンドン金属取引所(LME)の2日の亜鉛相場(3カ月物)は1トン当たり2782ドル。先月13日には同2980ドルまで上昇し、07年10月以来となる3000ドルの大台乗せに迫った。過去1年間の価格上昇率は銅など主要な非鉄金属の中ではトップとなる約5割に達する。

  価格上昇の背景は鉱石の不足。亜鉛価格が現在の約半分の水準である1トン当たり1500ドルを割り込んだ15年、鉱石生産で世界最大手のスイス資源会社グレンコアが減産実施を発表したほか、オーストラリアやアイルランドで大型亜鉛鉱山が資源枯渇によって閉山した。さらに世界の亜鉛鉱山で減産が相次いだことから鉱石需給は逼迫(ひっぱく)。国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)によると、16年の亜鉛地金の世界需給は28万6000トンの供給不足だった。

  斎藤部長は、生産コストに関して亜鉛価格が1トン当たり1900ドルを上回れば世界の亜鉛鉱山の約7割が利益を出すことができ、2100ドルを上回った場合にはその割合は約9割にまで高まる状況だと指摘。「現在の相場水準ではほとんどの鉱山がキャッシュを生み出している」と述べた。

今回の上昇は供給側の要因

  一方、2桁の伸びを示した中国の経済成長を背景に亜鉛相場が1トン当たり4500ドル超にまで上昇した06年とは異なり今回の相場上昇は供給側の要因によるもの。「足元の価格は想定以上に上がっており、停止していた中小鉱山の再開や既存鉱山による増産が各地で起きている」と述べ、今後グレンコアによる減産解除も見込まれるとして「3000ドルを維持するような相場展開にはならない」とみる。

  三井金属は17年度の亜鉛相場は1トン当たり2200ドルから2600ドルの水準で推移すると予測。同年度の平均は2400ドルと予想している。16年度の現在までの平均は2339ドル。15年度の平均は1838ドルだった。2000年度以降、年平均価格が2400ドルを上回ったのは06年度と07年度の2回しかない。 

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