総務省が3日発表した1月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2015年12月以来13カ月ぶりにプラスに転じた。エネルギーの下落幅が縮小したことで全体を押し上げた。消費支出は11カ月連続で下落し、個人消費の弱さが明確になった。雇用関連指標は堅調だった。

キーポイント

  • 全国コアCPIは前年比0.1%上昇(ブルームバーグ調査の予想中央値は横ばい)-前月は0.2%低下
  • 生鮮食品とエネルギーを除く全国コアコアCPIは0.2%上昇(予想は0.2%上昇)-前月(0.1%上昇)から伸びが拡大
  • 昨年12月分までの全国コアコアCPIは、日本銀行が独自に算出した数値を公表していたが、1月分から総務省が公表を開始した
  • 1月の家計調査は実質消費支出(2人以上の世帯)が1世帯当たり27万9249円で前年同月比で1.2%減少(予想は0.4%減)-前月(0.3%減)から減少幅は拡大
  • 1月の完全失業率は3.0%とほぼ横ばい(予想は3.0%)-前月は3.1%
  • 1月の有効求人倍率は1.43倍(予想は1.44倍)


背景

  1月の消費者物価指数がプラスとなった背景には2016年初めの原油価格急落の反動がある。昨年11月末の石油輸出国機構(OPEC)の減産合意以降の原油価格の上昇がガソリンや灯油などエネルギー価格全体に波及した。

  日本銀行は1月に示した経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、コアCPIが17年度に1.5%上昇、18年度に1.7%上昇するとの見通しを示した。黒田東彦総裁は先月22日の国会答弁で原油価格の上昇によって「物価は当面若干プラスになってくる。マイナスになってくる可能性は今のところない」と発言していた。

  日銀の佐藤健裕審議委員は1日、徳島市内で記者会見し、コアCPIについて「エネルギー要因がはく落したり、エネルギーを除く基調的な部分が消費の改善に伴い少しでも持ち直してくれば、年末にかけて前年比が1%に届いても全くおかしくない状況だ」と述べ、10年金利の目標を小幅に引き上げる必要性を示した。

エコノミストの見方

  • みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは統計発表後のリポートで、消費者物価指数の先行きについて「エネルギー高・円安を主因に、CPIコアは年前半に前年同月比0%台半ばあたりまで伸び率を高める」とした上で、「原油価格が頭打ちから反落し、為替が円高ドル安方向に揺り戻していくと、上向きの動きは息切れする」と予想している。
  • ソシエテ・ジェネラル証券の会田卓司チーフエコノミストは統計発表後のリポートで、消費者物価指数について「過去の原油価格下落と円高の下押し圧力が消え、足元の原油価格上昇と円安の押し上げ圧力に変わる物価の転換点に来ている」とした上で、「労働需給の引き締まりも上昇圧力となり、物価上昇率は年末までには1%程度まで上昇している」とみている。
  • 明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは統計発表後の取材で、消費者物価指数について「エネルギー価格の反動でほとんど説明できる。円安の影響もあり、徐々にプラス幅を拡大していく方向だと思う」とした上で、年末にかけて1%に上昇していくと述べた。

詳細

  • 全国総合CPIは前年比0.4%上昇-前月(0.3%上昇)から伸びが拡大
  • 東京都区部(2月中旬速報)コアCPIは0.3%低下(予想は0.2%低下)と12カ月連続のマイナス-前月(0.3%低下)から下落幅は横ばい
  • 生鮮食品とエネルギーを除く東京都区部(同)コアコアCPIは横ばい
  • 生鮮食品を除く全国コアCPIはガソリン、灯油、電気代などのエネルギーが前年同月比0.8%低下と前月(4.4%低下)から下落幅が大幅に縮小
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