トランプ米政権は新たに通商政策のアジェンダをまとめ、世界貿易機関(WTO)が下す判断に米国は縛られないとの立場を打ち出した。このアジェンダでは、諸外国による不公正な貿易慣行を根絶するとの方針が示された。

  米通商代表部(USTR)は大統領の通商政策を説明した年次文書で、米国は「通商政策における国家主権」を守ると記した。WTOへの加盟条件の下で米国は自国の通商を巡る権限は放棄しなかったと主張している。「2017年の通商政策アジェンダ」と題された同文書をブルームバーグ・ニュースが入手した。

  通商協定の交渉を主導するUSTRは、「この歴史を踏まえ、米国民はWTO判断の直接的な影響下に置かれていないと議会が明確にしたことを思い出すことも重要だ」と指摘した。トランプ大統領がUSTR代表への起用を決めたロバート・ライトハイザー氏はまだ、議会上院で指名承認を受けていない。

  トランプ政権によるWTOへのこうした懐疑的な見方は、米国が第2次大戦以降主導してきた世界的秩序を損なうことになっても自国の利益を追求する新たな意欲を示唆するものだ。

  年次文書は政権の通商政策の最重要の目標について、「全ての米国民にとって一層自由で公正な方法で貿易を拡大する」ことだと説明。「貿易に関するわれわれの行動は全て米国の経済成長を高め雇用創出を促し、貿易相手国との相互関係を促進するほか、米国の製造業基盤と自国防衛の能力を強化し、農業・サービス産業の輸出を拡大することを企図したものになる」とした。

  さらに、これらの目標は多国間協定よりも二国間交渉を重視する方がうまく達成できると指摘。米国の輸出を阻む不公正な貿易障壁の撤廃に取り組み、「国内の産業や労働者を害するような不当廉売され、補助金を受けた輸入品によって米国市場がゆがむことのないよう米国の通商法を厳格に執行する」方針も示した。

  文書の内容は先に英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)と米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じていた。
  
原題:U.S. Not Bound by WTO Decisions, Trump Warns in Trade Agenda (1)(抜粋)

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