日本銀行の佐藤健裕審議委員は1日午後、徳島市内で記者会見し、物価上昇率が年末に1%に届く可能性がある中、10年金利の目標を0%に維持することが困難になってきている可能性があるとして、経済・物価情勢が改善すれば目標を小幅引き上げるべきだという見方を示した。

  佐藤委員はマイナス圏にある生鮮食品を除く消費者物価指数について「エネルギー要因がはく落したり、エネルギーを除く基調的な部分が消費の改善に伴い少しでも持ち直してくれば、年末にかけて前年比が1%に届いても全くおかしくない状況だ」と述べた。

  そうした中、長期金利が0%近辺に踏みとどまっているかどうかは、「その時々の経済・物価情勢次第であり、現時点で確定的なことを言えない」としながらも、「日銀が10年金利の目標を0%に置き続けることがかなり難しくなってきている可能性はある」と述べた。

  0%に維持することが困難になれば、「国債の買い入れを大幅に増やしたり、無制限の指し値オペを多用したりといった局面になっている可能性はある」が、「基本的には好ましくない」と指摘。経済・物価情勢が改善しているという認識に政策委員会が至るのであれば、「10年金利の目標を微調整することは十分あってしかるべきではないか」と語った。

買い入れは次第に減少に向かう

  佐藤委員は午前の講演では、日銀が現在行っている長期金利操作で仮にゼロ%程度を相応の期間継続する場合、「長期国債の買い入れ額は次第に減少に向かうと考えることもまた自然である」と語った。ただ、相応の量の国債買い入れを続けることも必要とも述べた。

  佐藤委員は相応の量の国債買い入れを続けた場合の長期金利への影響について「買い入れ継続により中央銀行の資産サイドに国債が蓄積するにつれ、ストック効果から長期金利には低下圧力がかかると考えるのが自然である」と述べた。

  長期国債買い入れの約80兆円の「めど」については、「あくまでめどであるので、あまり縛られる必要もない」と指摘。ゼロ%程度という長期金利を実現するのに必要で十分な国債買い入れ額が次第に減少に向かうことは、「やや長い目でみてデフレ脱却後の望ましい出口のあり方を考えると、金融政策のスムーズな正常化を促す重要な要素になる」と語った。

サプライズ避けるなど周到な配慮必要

  日銀は1日から適用する当面の長期国債買い入れ運営方針で、オペの実施日を事前に公表する新たな方式を導入した。前日発表した資料によると、1年超5年以下、5年超10年以下、10年超の三つのゾーンでオペ実施日を予告。1回当たりのオペの買い入れ金額の範囲を引き続き示した一方で、従来行っていた初回オペの金額提示は取りやめた。

  佐藤委員は長期金利操作のタイミングや幅などについて「操作に先立っては市場との入念な対話によりサプライズを避けるなどの周到な配慮も必要」と指摘。仮に経済・物価情勢が望ましい方向に変化すれば、「市場の動きを追認する形で操作目標水準を柔軟に調整していくことが適当」と発言していた。

  また、指し値方式の無制限買い入れについて「市場を制御するのに短期的には効果的かもしれない」としながらも、「中央銀行が特定の金利水準にコミットする強いメッセージを発することになるため、 その後の政策運営を縛り、市場との対話に支障をきたすなどの影響が出かねない」と懸念。指し値での買い入れなどは「あくまでも非常時のツールキットという位置付けと理解している」と語った。

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