ドル・円上昇、米利上げ期待で一時113円後半-大統領演説「無難に通過」

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  • 午後に一時113円62銭まで上昇し、1週間ぶりのドル高・円安水準
  • トランプ大統領演説はサプライズなし-SMBC信託銀

1日の東京外国為替市場のドル・円相場は、一時1ドル=113円台後半まで上昇した。3月の米利上げ期待を背景にドル買い・円売りが進んだ前日の海外市場の流れが継続。トランプ米大統領の初の議会演説を受けて伸び悩む場面もあったが、下値は限定的となった。

  午後3時15分現在のドル・円は前日比0.6%高の113円40銭。午前10時すぎに113円38銭まで上昇した後、11時からのトランプ大統領の演説中に112円77銭まで下げる場面があった。その後は再び水準を切り上げ、午後に入り一時113円62銭と2月22日以来のドル高・円安水準を付けた。

  SMBC信託銀行金融商品開発部シニアマネジャーのシモン・ピアンフェティ氏(東京在勤)は、「トランプ大統領演説はサプライズなし。税制改革については何もなく、インフラ投資もそれほど巨額ではない」と分析。一方で、「米金融当局者のタカ派トーンが再び焦点となっており、総合的にはややドルポジティブな状況」と述べた。

トランプ米大統領

Source: Bloomberg)

  トランプ大統領は、上下両院合同本会議で初の演説を行い、国民に争いをやめ、国の骨格再建で自分に力を貸してほしいと訴えたが、新たな提案はほとんど行われなかった。医療保険制度改革法(オバマケア)の代替、中間層減税を含む税制改革、1兆ドル(約110兆円)のインフラ投資、国防支出の大幅増加といった大統領の計画の財源については言及しなかった。

  ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店の鈴木恭輔為替資金金営業部長は、「おおかた昨日、一昨日で上やって下やってというところの値動き。短期的にポジションをスクエアにして臨んでいたところもある。滅茶苦茶なこと言わなくて良かったという意味で無難に通過した」と指摘。「きょうの演説に対して具体的な数字が出る期待感はなかった」とも語った。

  米金利先物動向に基づきブルームバーグが算出した利上げ予想確率によると、3月14、15日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの可能性は2月28日時点で52%と前日の50%から一段と上昇している。

  サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は28日、3月のFOMCでは利上げを「真剣に協議」すると予想していると発言。ニューヨーク連銀のダドリー総裁もCNNインターナショナルとのインタビューで、利上げの主張は過去数カ月で「一段と説得力のあるもの」になったとの見方を示した。

  あおぞら銀行市場商品部の諸我晃部長は、「ニューヨーク連銀総裁やサンフランシスコ連銀総裁のタカ派発言を受けて、かなり3月利上げの織り込みが進んだのでドル買いとなっている。昨日は米指標も良かったので2年金利が上昇したことがドル買い要因。イエレン議長講演もタカ派的な発言になりそう」と説明。「3月米利上げには懐疑的な面も残っており、実際にやるかどうかは供給管理協会(ISM)指標や雇用統計などを見てからだろう」と述べた。

  1日の米国では、地区連銀経済報告(ベージュブック)が公表されるほか、ダラス連銀のカプラン総裁とブレイナード連邦準備制度理事会(FRB)理事が講演する。3日にはイエレン議長とフィッシャー副議長が講演する予定。

  ソシエテ・ジェネラル銀の鈴木氏は、今後の重要イベントとして、米予算教書、FOMC、日銀金融政策決定会合、20カ国・地域(G20)会合などを挙げた上で、「FRBは利上げ期待。これはかなり盛り上がっている状況なので、仮に見送りになった時の出尽くし、今は五分五分の状況だから先物で織り込み具合いを見ながらイベント後の反応を考える。今はイベント主導でドルは買われやすい地合い」と述べた。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.2%安の1ユーロ=1.0557ドル。一時1.0551ドルまでユーロ安・ドル高に振れた。ポンド・ドル相場は同時刻現在、ほぼ変わらずの1ポンド=1.2376ドル。一時1.2363ドルと2月7日以来のポンド安・ドル高水準を付けた。

  あおぞら銀の諸我氏は、「欧州の政治要因で上値が重いところに米利上げ観測も出て、ユーロやポンドは売られやすい地合い。スコットランド独立で国民投票の話も出ているので買いづらい。もっともスコットランド国民投票のハードルは多く、英国政府が認めるか、簡単な話ではない。こうした動きが欧州全体に広がればリスクオフ要因にはなるだろう」と述べた。

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