17年春闘、メガバンク2行ベア要求見送り-遠のくアベノミクス成果

  • みずほFGと三菱東京UFJ銀の労組はベア見送りへ-2年連続
  • トヨタ労組はベア要求3000円、一時金は昨年下回る6.3カ月分

2017年春闘の集中回答を3月に控え、政府主導の賃上げの動きが金融機関や企業の間で停滞している。マイナス金利や世界経済の先行きが不透明なことで経営環境が厳しさを増しており、アベノミクスが掲げる景気回復に向けた好循環の実現が遠のきつつある。

  みずほフィナンシャルグループと三菱東京UFJ銀行の労組は17年春闘でベースアップ(ベア)要求を見送る方針だ。2行の関係者が明らかにした。ベア要求見送りは2年連続になる。関係者の1人によると、減収減益という決算動向や、マイナス金利による利ざや縮小などを踏まえた決定という。デフレ脱却を狙いとしたマイナス金利だが、銀行業界には足かせとなっている。

  業績悪化が見込まれるトヨタ自動車の労組はベアに相当する賃金改善分として月3000円を要求した。一時金の要求は6.3カ月分で昨年の7.1カ月を下回った。労組の広報担当の藤田清則氏によるとベア要求は昨年と変わらずだが、一時金は会社業績を踏まえて昨年の7.1カ月から下がっているという。

  アベノミクスはデフレ脱却を確実なものにするために「経済の好循環」の実現に向けた賃上げに取り組んでいる。政府の賃上げ要請が開始されてから、14-15年の春闘では企業収益の改善を受けて賃上げ率が拡大し、大企業を中心に十数年ぶりのベースアップが実現。しかし、16年は景気の先行き不透明感で上昇率は鈍化した。政府は景気回復の遅れの理由に、伸び悩む賃金と個人消費を挙げ、企業が得た記録的な利益を従業員に配分するように求めているが、賃上げの動きは停滞している。

賃上げ率鈍化

  ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、賃上げできる企業はどんどんした方がいいとしつつ、収益が厳しいことやトランプ米大統領の政策の先行きが読めないこともあり慎重になっているのだろうとの見方を示した。

  みずほ総合研究所のリポートによると、17年春季賃上げ率(主要企業)は2.1%と2年連続で鈍化する見通し。失業率が約20年ぶりの低水準となるなど労働需給の改善が押し上げ要因になる一方で、企業収益の目減りや物価が下押し要因になると分析している。厚生労働省の発表では、16年の賃上げ率(定期昇給込み)は2.14%で2%台が3年続いたが、前年比で0.24ポイントの低下だった。

  トヨタの17年3月期は円高などの影響で連結純利益が3割弱落ち込む見通し。通商政策次第では海外生産体制の見直しも迫られる可能性がある。日立製作所の労組の賃金引き上げ要求は月額3000円、三菱重工業は同4000円(定期昇給を除く)だった。

  一方、三井住友銀行の労組は基本給を前年比0.5%増、平均で月額3000円のベアを要求する方針で、経営側は受け入れる見込み。関係者が明らかにした。全国銀行協会の国部毅会長(三井住友銀頭取)は16日の記者会見で「わが国のデフレ脱却に向けて経済の好循環の流れをより力強くしていくためには、賃上げのモメンタムを継続していくことが極めて重要だと思う」と述べ、従業員の勤労意欲の向上のため賃上げへの意向を示していた。

  野村ホールディングスは22日、若手中心の「初級職」で一律月額5000円(平均2%)を引き上げると発表した。初級職の賃上げは4期連続で、引き上げ率は累計10.7%となる。また働き方改革の一環として、在宅勤務制度や人間ドック休暇、語学研修サポートなどを導入する。

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