ポピュリズムが米欧など各地を席巻する中で、選挙で選ばれぬまま、大勢の人々の経済的命運を左右する力を振るうテクノクラートで構成される組織ほど、政治的に格好の攻撃対象はない。それは各国・地域の中央銀行とその当局者だ。

  中銀たたきはもう始まっている。米国では連邦準備制度の裁量に基づく金利設定が、ルールに基づく政策の採用を求める下院共和党の標的だ。欧州では、ドイツが欧州中央銀行(ECB)に金融政策の引き締めを迫って大きな圧力をかけている。インドでは昨年、高額紙幣廃止という思い切った改革がほぼ中銀の頭ごなしに進められた。

  中銀当局者は、エスタブリッシュメント(権力層)への市民の反感をばねとした政治家による厳しい批判を浴び、ハンガリーなどのように、中銀が法律に基づきかつて享受していた自律性を実質的に放棄したケースもある。

  政府が政策金利や中銀のバランスシートに対する支配力を強めようとする一方で、所得や富の格差是正といった政治的課題を中銀の新たな任務に加えようとする事態も近い将来にあるかもしれない。

  イングランド銀行(英中銀)の元金融政策委員会(MPC)委員で、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)教授のチャールズ・グッドハート氏は「選挙で選ばれた議会との対立になれば、中銀に勝ち目はない上、独立性の防御戦にもまだ、非常に疑問の余地がある」と指摘。「政府が短期金利を設定する世界に逆戻りする可能性も確かにある」と語った。
  
原題:Populism Is Shaking the Edifice of Central Bank Independence (1)(抜粋)

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