日本銀行は28日夕に発表する3月分の長期国債買い入れオペの運営方針で、実施日や金額の範囲を事前に公表するなど、新たな開示方法を導入する見通しだ。国債相場の需給関係を見極める手助けになるのか、それとも波乱要因として残るのか、市場関係者の関心は高い。

  日銀は毎月最終営業日の午後5時に、「当面の長期国債等の買い入れの運営について」で月間ベースの年限別購入額や実施頻度、翌月の最初のオペの金額を発表している。事情に詳しい複数の市場関係者によれば、今回は残存期間「1年超5年以下」「5年超10年以下」「10年超」について、翌月のオペ実施日と買い入れ額のレンジを公表する方針。日銀が21日開催した「市場調節に関する懇談会」で、金融市場局から国債買い入れの改善案として示されたと言う。

オペ改善策に関する記事はこちらをご覧下さい。

  国債相場は22日以降、日銀による国債買い入れオペ方針の新たな開示に関する報道をおおむね好感する格好で買いが優勢となり、各年限で利回りが軒並み低下した。長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは1カ月ぶり低水準の0.05%と4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)程度水準を切り下げ、2年債や5年債利回りは昨年11月以来の低水準に達した。オペ方針を巡る不透明感から1年ぶり高水準を付けていた20年、30年、40年の超長期債利回りはいずれも1カ月ぶり水準まで下げた。

  日銀の長期国債買い入れオペの日程を巡っては、市場関係者は、1)利付国債入札日や日銀金融政策の結果発表日には見送られる、2)連日で同一の残存期間の国債を対象とするオペは避ける、3)期間区分別に3本のオペを行う場合はそのうちの1本は物価連動債か変動利付債を対象とする-などを経験則から見いだし、現行の相場状況などを基に対象となる年限や金額を予測していた。

  こうした中、日銀が1月25日に実施したオペで、市場予想に反して残存1年超5年以下の買い入れを通知しなかったことをきっかけに相場が不安定化。中期ゾーンの月間のオペ回数が減少することへの警戒感から強まった売り圧力は、中期債にとどまらず、超長期債まで広がり、流通利回りが急上昇した。

  10年物の345回債利回りが今月3日に0.15%と約1年ぶりの水準に急騰した際には、日銀は5年超10年以下のオペ再増額に加えて、10年ゾーンでは初となる指し値オペの実施に追い込まれる場面があった。

  日銀がオペ実施日とそれぞれの買い入れ金額のレンジを事前に公表することになれば、1月下旬や今月初旬に見られたオペ通知を巡る相場の波乱は減る可能性がある。だが、市場関係者の期待はそれほど大きくないようだ。

 

日本銀行本店
日本銀行本店
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

 SMBCフレンド証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは、「突然スキップされないで済む。1月25日と2月3日のオペの不手際の結果だ。市場とはコミュニケーションを取りたいという意図は感じられる」と話した。ただ、「3月に向けての季節要因も多少あると思うが、外部環境的にドイツを中心に金利低下しやすくなっているところでこの策を取るとなると、金利低下圧力が強くかかるときに止められる手段が難しい」と言う。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、「そんなに何かすごく良い内容でもない。例えば国債買い入れが減るのではないかという底流にある問題はこれで変わるわけでない」と指摘。「事前に通知するからといって当日になって追加通知していけないことでもないようだ。毎日追加があるのかないのか緊張感は残る」と語った。   

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