27日の東京外国為替市場で、ドル・円相場は一時1ドル=112円台を割り込み、今月9日以来の安値を付けた。トランプ米大統領の演説を翌日に控えて、景気刺激策の具体策への期待後退が重しとなった。朝方にはスコットランドの独立問題をめぐる懸念からリスク回避に伴う円買いが強まる場面も見られた。

  午後4時20分現在のドル・円は前週末比ほぼ変わらずの112円15銭。朝方に112円32銭まで強含んだ後、一時111円92銭まで円買いが進み、112円台前半に戻した後も上値の重い展開となった。

  野村証券外国為替部の高松弘一エグゼクティブ・ディレクターは、東京時間は日本株を中心としたリスクオフセッションが続いており、「ドル・円の上値は抑えられている」と説明。今週の注目はトランプ大統領の演説と週末のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演で、「金利のマーケットなどを見ると、少なくともトランプ大統領に関してはあまり大胆なものが出るといった織り込みはされていないのではないか」と話した。  

  トランプ大統領は28日夜(日本時間3月1日午前)に上下両院合同本会議で演説を行う。減税やインフラ投資などの具体策に注目が集まるが、ムニューシン米財務長官が先週、財政出動が今年の景気に及ぼす影響は限定的になる可能性があると指摘したことで、市場の期待は後退している。

  ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(BBH)外国為替部の村田雅志通貨ストラテジストは、「閣僚・スタッフ人事が決まっていない中で、トランプ大統領の施政方針演説も曖昧さが残る内容になりそう。期待を盛り上げようと努力するだろうが、中途半端な内容を繰り返すのではないか」と予想する。

  先週末の米国債相場は大幅高となり、10年債利回りは昨年11月以来の水準に低下した。一方、週明けの東京株式相場は続落。日経平均株価は一時290円近く下げ、1万9000円を割り込む場面が見られた。  

スコットランド懸念でポンド下落
 

  英政府がリスボン条約50条を発動し、欧州連合(EU)離脱手続きの開始を通知するタイミングに合わせて、スコットランド行政府が独立を問う新たな住民投票の実施を3月に表明する可能性を想定し、メイ首相のチームが準備を進めている。英紙タイムズが複数の匿名の政府高官からの情報を引用して報じた。

  報道を受け、ポンドは対ドルで1ポンド=1.24ドル台後半から一時1.2392ドルと今月17日以来の水準まで下落。対円では約3週間ぶりの水準となる139円ちょうど付近まで値を下げた。

  みずほ証券の鈴木健吾チーフFXストラテジストは、「スコットランドの独立となると、英国の分裂になってくるので、ポンドやギルトの価値が急落する可能性が出てくる」とし、「リスクオフを後押しして、円高を強める可能性がある」と説明。もっとも、「本格的な年末以降のリスクオンの巻き戻しになるのかはまだ微妙」だとし、「あすのトランプ大統領の施政方針演説でどうなるかをみている」と話した。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE