来週の債券市場では長期金利に低下圧力がかかりやすいと予想されている。日本銀行が国債買い入れオペ運営の透明性向上を目指しているとの見方から、買い安心感が広がる見通し。一方、10年債入札やトランプ米大統領の講演を控えて、上値は限定的となる可能性もある。

  今週の新発10年物国債345回債利回りは0.085%で開始。21日には0.095%まで売られる場面もあったが、残存5年超15.5年以下の銘柄を対象にした流動性供給入札が順調だったことで下値は限定された。その後、20年債入札結果が強かったことに加え、日銀がオペの実施日と購入額の予告を開始するとの報道で買いが優勢となり、一時は0.055%と1月24日以来の水準まで低下した。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「日銀の金融調節姿勢が確認されてきた安心感に加えて、20年債入札も順調だった」とし、「3月は大量償還も控えている上、海外要因を見れば円高圧力もかかりそう。米金利が目先どんどん上昇していく感じはなく、債券にはいい材料がそろっている」と指摘。「相場がどこまで戻るかという局面だ」とみる。

20年債入札の結果はこちらをご覧ください。

  日銀は28日に「当面の長期国債等の買い入れの運営について」を発表する。事情に詳しい複数の市場関係者が22日に明らかにしたところによると、3月分からは新たに実施日と購入額のレンジなどを加える。対象は購入規模が大きく回数が多い残存期間「1年超5年以下」「5年超10年以下」「10年超」の3ゾーン。金利上昇時には臨時オペも可能とする。

  ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、3月初回の買い入れ金額が注目だとし、「足元で金利が下がってきており、金額で調整するしかなくなっている。特に手前の金利低下で、1-5年の買い入れ回数が6回になるか5回なのか」と述べた。また、「期中は金利低下のどのタイミングで減額してくるかで、それ以上は下がって欲しくないというシグナルとして受け止められる」としている。

10年債入札

  財務省は28日に2年利付国債、3月2日に10年利付国債の入札を実施する。発行予定額は2年債が2兆3000億円、10年債が2兆4000億円程度となる。

  みずほ証券の辻宏樹マーケットアナリストは、「20年債入札前後で超長期ゾーンの地合いが改善した」とし、来週も「いったんは底堅い展開」を予想。ただ、「10年債入札に続いて、次の週には30年債入札も控えており、どんどん上値を追う展開にもなりにくい」と言う。  

トランプ米大統領
トランプ米大統領
Photographer: Olivier Douliery/Bloomberg via Getty Images

  米国では28日にトランプ大統領が議会で演説する予定。3月3日にはイエレン連邦準備制度理事会(FRB)の講演が控えている。経済指標では昨年10-12月期の国内総生産(GDP)改定値や2月の供給管理協会(ISM)製造業景気指数などが発表される。

  ドイツ証の山下氏は、「実行性のある話が出てくるか、期待感が高められるかが注目」と説明。また、「国境税などの議論で実際にインフレを押し上げる内容になるかといったところ」だと言う。

市場関係者の見方

*T
◎三井住友アセットマネジメントの深代潤グローバル戦略運用グループヘッド
*欧州の政治問題はどちらかにベットしにくいが、フランスをめぐっては不安が高まりやすく、円債にはサポート要因
*日銀も市場も相変わらず円高には弱いので、3月末にかけてはギュッとフラット化する場面が何回かは来るのではないか
*長期金利の予想レンジは0.05%~0.10%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*日銀のオペ予告、買い入れ額が減額される可能性もなくはないが、金利上昇を抑えるためにいろんな方法を考えているのなら前向きに受け取れる
*2年入札と10年入札、利回りが低下して若干警戒感が高まるのも仕方ないが、年度末要因や大量償還に伴う好需給を考えると結局あまり心配いらないのではないか
*長期金利の予想レンジは0.03%~0.08%

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
*米GDP改定値、海外経済が上向き方向ということをあらためて確認する内容になると予想
*国内景気も雇用・所得環境の改善で底堅く、長期金利の方向は海外・国内ともに上向きとみている
*長期金利の予想レンジは0.04%~0.10%
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