3月1週(2月27ー3月3日)の日本株は週後半に荒い値動きになりそうだ。トランプ米大統領の議会演説を控えて前半は様子見ムードが強まる。演説の内容が米国株や為替動向に影響を与え、後半は米政策に振らされる可能性がある。

  トランプ大統領は28日(日本時間3月1日)に上下院両院合同本会議で演説し、政権運営の方針を示す。減税やインフラ投資などの財政政策について、どの程度詳細が示されるかが焦点だ。大統領は22日、財政赤字を減らしつつ、優先課題を反映した連邦予算案をまとめるには自分のチームは「膨大な量の作業をこなさなければならない」と発言。大規模なインフラ法案の審議が来年にずれ込むとの報道も出ており、演説後に過度の期待の反動が出ることも予想される。その場合は米金利が低下し、円高を通じて日本株に悪影響を与えそう。

  また、ホワイトハウスは2018会計年度(17年10月-18年9月)予算教書を3月13日までに議会に提出する見込みだと、上下両院の議会スタッフが明らかにした。議会演説で一時的に期待が後退しても、予算教書に向けて政策期待はなお継続する可能性が高い。加えて、ファンダメンタルズとの比較で日本株は割安との見方が多い。大和証券によると、今期の企業業績は最終利益が過去最高の可能性があり、来期も1ドル=110円割れの円高にならなければ2桁増益が見込まれている。業績期待からの買いも入りやすい。

  経済指標では米国で27日に1月耐久財受注や中古住宅販売、28日に16年10-12月期国内総生産(GDP)改定値、1日に米供給管理協会(ISM)製造業景況指数などが発表される。耐久財は前回の前月比0.5%減から1.6%増に、GDP成長率は前期比年率で1.9%から2.1%に拡大、ISMは56.0で変わらずが見込まれている。景気の改善傾向は株価にプラス効果を与えそうだ。国内では28日の1月鉱工業生産が前月比0.4%上昇と前回の0.7%上昇から伸び鈍化が予想されている。2月第4週の日経平均株価は週間で0.3%高の1万9283円54銭と反発した。

≪市場関係者の見方≫
東京海上アセットマネジメントの橋爪幸治シニアファンドマネジャー
  「トランプ大統領の演説次第で上にも下にも行くだろうが、ファンダメンタルズは良好なため基本的に株価は上方向。演説で減税額が選挙戦時の公約より上積みされればポジティブ、下回れば円高・日本株安になりやすい。税制改革案の詳細が明らかにならないという驚くべき結果になる可能性もある。ただ、世界の景況感は良好で米国の経済指標も良い方向で出てきそう。足元の円安も国内企業の業績見通しに十分織り込まれていない。イベントリスクから空売りが増加しても、結局は上値で買い戻されがちだ」

三菱UFJ国際投信・経済調査部の向吉善秀シニアエコノミスト
  「方向性が出ない可能性がある。トランプ大統領の演説はポジティブな内容を予想しているが、予算教書作成が遅れているようで具体策が後になるかもしれず読めない。驚くべきとの表現で市場の減税に対する期待値は膨らんだ。米国株は大きく上昇して割高感があるため利益確定売りが出るかもしれず、リスクオフで1ドル=110円を割り込む円高になれば日経平均の1万9000円割れは避けられない。しかし業績面から見るとずるずると下げることはなく、影響は一時的だろう」

アセットマネジメントOneの浅岡均ストラテジスト
  「市場は米国金利が上昇して為替が円安に進むのを待っており、上値を追うのは難しい。米経済政策の実現性への疑問、効果は18年になるとの観測が米金利の上昇を抑制、年内の米利上げペース加速シナリオはいったん後退した。ドルの安定で投資資金は新興国市場へ向かい、バリュエーション面でも日本株の相対的な魅力度は低下している。トランプ大統領の演説で新たな内容は想定していない。マーケットの材料にはならないだろう」

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