サンフランシスコに住むインド国籍のソフトウエアエンジニアは、90万ドル(約1億円)の住宅購入を取りやめた。アリゾナ州メサでは24歳のメキシコ系移民の男性が、銀行から住宅ローン提供を取り付けたものの、今は強制出国になることを恐れている。彼の親が不法移民だからだ。

  トランプ米大統領の移民政策は、アメリカ経済の屋台骨である住宅市場を揺るがしかねない。合法、非合法を問わず移民は長年、住宅購入の伸びを支える柱となってきたが、冷たい視線を浴びるようになった今では、人生最大の買い物を決断するには先行きに希望が持てなくなっている。

Juan Rodriquez
Juan Rodriquez
Photographer: Conor Ralph/Bloomberg

  「トランプ大統領が署名するだけで、自分のすべてが奪われる気がする。これまで一生懸命働いて培ってきたものすべてだ」と話すのは、7歳のときに両親によってメキシコから米国に連れてこられたフアン・ロドリゲスさん(24歳)。今はフルタイムで働きながら、大学の学位取得を目指している。

  トランプ政権は21日に不法移民を一斉に取り締まる計画の詳細を明らかにした。これによると、裁判所での聴聞を経ずに大量の移民が国外に退去させられる。オバマ前政権では暴力を伴う犯罪で有罪歴のある移民を重点的に国外退去にしていたが、トランプ大統領はこの基準を引き下げ、詐欺、あるいは公的な安全を脅かすとの判断も退去の理由に含める方針だ。グリーンカード(永住権)や就労ビザの保有者もこの心配から逃れられない。外国生まれの買い手による住宅取得が多いマイアミやシリコンバレー、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークの住宅市場が最も高いリスクを抱えている。

  ケイトー研究所の政策アナリスト、アレックス・ナウレステ氏は「トランプ氏が望む移民計画が現実となれば、何よりも住宅市場が痛手を受けるだろう」と話す。「数百万人規模が国外退去処分を受け、その穴を埋めようにも移民希望者は減る。そうなれば住宅価格に下押し圧力が働く。特に都市での圧力は強い」と述べた。

  不動産ウェブサイト、トゥルーリアによると、米国生まれの住人の持ち家比率は2015年に66%と、1994年と変わらなかった。一方、外国生まれの住人による持ち家比率は2.4ポイント上昇し、50%を上回った。

原題:Why Trump’s Immigration Crackdown Could Sink U.S. Home Prices(抜粋)

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