大気汚染で視界がかすみ冷え込む北京市北部で、仕事の面接を待つチャン・チェンさんは、以前の中国でよく見られたような出稼ぎ労働者ではない。ミュウミュウのショルダーバッグを携え、毛裏の上着に身を包んでいる。他の40人ほどと、スポーツ用品コンベンションの案内という2日間のアルバイトに応募している。

  チャンさんは会計を学ぶ21歳の学生だ。このアルバイトの報酬は約240元(約4000円)。「安いけど、もっと楽しい生活がしたい」のだと言う。

  パートタイムに焦点を絞り、インタ-ネット求人サイトとマーケティングサービス、それに人材派遣会社の要素を組み合わせた事業を展開する新興企業、斗米を通じて、チャンさんはこの求人を見つけた。中国の百度(バイドゥ)とテンセント・ホールディングス(騰訊)の出資も受けた斗米の月間アクティブユーザー数は、わずか半年で2000万人に倍増。肥大した国有企業が従業員の削減を図る中で、中国の若い世代は短期雇用に抵抗感はない。

中国のバス通勤風景
中国のバス通勤風景
Photographer: Nelson Ching/Bloomberg

  斗米の利用者は、スーパーマーケットで商品を仕分けしたり、凍えるような路上で通行人にパンフレットを渡す仕事を見つける。日給は130元前後だ。18-28歳の「美女」なら、視聴者の大半が男性の生中継ストリーミングサービスでモデルを務めれば、その4倍の報酬に加えチップを稼ぐこともできるという。

  斗米の趙世勇最高経営責任者(CEO)は「毎月、30万-40万件の仕事がある」と述べる。「過度の雇用安定は望まないと話す若者は多い。一つの都市にとどまるつもりがなく、その必要がないからかもしれない」と指摘する。

  短期間で仕事を変えるたいというのは、これまでの世代にはなかった願望だ。中国では長い間、ミドルクラス(中間所得者層)の夢と言えば大学を卒業し、安定した職、できれば政府系の仕事を得るというものだった。大学生1万3000人を対象に2016年に実施された調査では、48%が旧来の労働市場に入ることを望んでいないと回答。仕事探しで斗米を利用する人々のほぼ半数は学生で、9割が35歳以下だ。

  アモイ(厦門)大学の柏培文教授(経済学)は、「1990年以降生まれの若い世代は、彼らの親ほどハードワークをこなすこともなく、辛抱強くもない。自由と楽しいことに価値観を置き、昔ながらの仕事に就いて上司から制約を課されることを嫌っている」と説明している。

原題:China Startup Thrives on Temp Gigs as Middle-Class Dream Fades(抜粋)

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