日本企業が過去最高の経常利益を記録する中、内部留保は積み上がる一方だ。企業利益が賃上げに回らない状況下、個人消費に日本経済のけん引役を期待することは難しく、2017年は世界景気の回復に伴う輸出拡大に頼ることになりそうだ。

  経済予測を行う英エノド・エコノミクスのダイアナ・チョイレバ・チーフエコノミストはリポートで、日本経済の最大の問題は企業が得た利益を活用しないまま積み上げていることだと指摘。こうした傾向が個人消費の活性化を阻んでいると分析する。

  今年の春闘で大幅な賃上げを期待するアナリストも少なく、改善の見通しは不透明だ。連合は今年2%のベアを要求する方針。しかし、昨年も同水準のベアを求めたものの回答は0.44%にとどまった。

  伸び悩む賃金と個人消費に政府部内の不満は高まっている。日本銀行の異次元緩和政策による円安を背景に、企業が得た記録的な企業利益を賃上げや設備投資に回すよう求めてきたが、期待外れに終わっている。安倍晋三首相が進めるアベノミクスによる経済の好循環はいまだ実現していない。

  企業利益と設備投資の差はリーマンショック以降、広がる一方だ。

  政府はこれまで企業に設備投資や賃上げを促してきたが、経営への口出しには限界がある。国際通貨基金(IMF)は昨年、日本に対し、高収益を得ているにもかかわらず、賃上げや設備投資に資金を回さない企業名を挙げるよう提言し、最終的には罰則も検討するよう求めた。

  英市場調査会社キャピタル・エコノミクスの、マーセル・ティエリアント・シニアエコノミストは取材に対し、賃上げを促進する税制の必要性を指摘する。一方で、内部留保への課税は企業が利益を海外逃避させる可能性もあると話した。

  結果的に、法人税収の減少に拍車が掛かり、日本の財政が所得税や消費税など個人からの税収入に頼る状態がさらに強まることになる。

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