失望が絶えなかった日本の株式市場で、静かな革命が進行中のようだ。

  日本企業は何年も、現金を蓄え続けてきた。その規模は昨年9月時点で2兆4000億ドル(約272兆円)相当と世界最大。この資金を株主にいかに還元するかがずっと課題だった。

  株主資本利益率(ROE)への関心を高めることがアベノミクスの重要な要素であり、今や一部の投資家が変化を実感しつつある。世界で1兆ドル余りを運用する仏アムンディ・グループもその一つで、資金力に富みながら経営面で改革の機が熟している企業を投資対象として注目している。

  アムンディ・ジャパンのチーフ・インベストメント・オフィサー、岩永泰典氏は今月のインタビューで、「この業界で25年働いているが、このようなアプローチは過去に見たことがない」と述べ、「企業からはここ数年で配当支払いや自社株買いを増やす対応が見られる。この傾向は続くはずだろう」と付け加えた。

 
  こうした変化の背景には、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の存在がある。1兆3000億ドル相当を運用するGPIFが圧力をかけ、機関投資家や企業幹部に内部留保問題への対応を迫るほか、安倍政権の下でROEや企業統治重視の新株価指数の算出が始まったことで、構成銘柄にはGPIFや日本銀行から買いが入る。与党当局者からは企業の内部留保に追加課税するアイデアさえ浮上した。

  そして、責任ある機関投資家の諸原則に関する日本版スチュワードシップ・コードが年内にも改定される可能性があるほか、15年に導入された企業統治指針は会社から独立した立場の社外取締役の選任につながってきた。この指針についても将来の改定に向けて議論がなされている。

  「日本株式会社は歴史的な転機に差し掛かった」と語るのは、UBS証券ウェルス・マネジメント本部の日本株リサーチヘッドの居林通氏だ。「新しい企業統治指針とスチュワードシップ・コードが日本企業の経営を一変させるとみている」と語った。

  UBSのデータによれば、16年に自社株買いプログラムを発表した企業数は824と、前年を16%上回った。購入の規模は6兆円余りに上ったという。この傾向を17日に如実に示したのはブリヂストンで、同社は少なくとも2000年以来の規模となる自社株買いを発表。1500億円を上限に購入する計画を明らかにした。

  こうした傾向は、比較的低水準の配当とROEに特徴付けられた日本の株式市場を突き動かすはずだ。UBSのデータによれば、自社株を12年1月以降に買い戻した企業の株価はベンチマーク指数を39%余り上回っている。

原題:A New Play Looms for Japan Stocks, and It’s All About Cash (1)(抜粋)

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