次期「iPhone(アイフォーン)」をめぐる楽観的な見方が広がり、米アップルの株価は先週、上場来高値を付けた。一方、同社のスマートフォン組み立てを手掛ける台湾の鴻海精密工業の株価も同様の期待感から大幅に上昇している。

  鴻海の株価はこの1年で29%上昇。発売10周年のアイフォーンに対する楽観的な見方で鴻海株は一時約10年ぶりの高値を付けた。アップルが10周年に最先端かつ最も人気を博す端末を導入するとの期待があり、横ばい気味のモバイル市場でもフォックスコン・テクノロジー・グループ最大の企業である鴻海を後押ししている。

米アップルの会社ロゴ
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Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

  創業者の郭台銘(テリー・ゴウ)氏は製造能力向上のため中国から東南アジアに及ぶ範囲でロボットを取り入れる一方、仮想現実(VR)や人工知能(AI)などの新たな分野への投資も進めている。同氏が買収で陣頭指揮を執ったシャープの株価は約3倍となり、今では共同で多額の投資を行いつつある。立て直しが進んでいることを示すように、シャープは17日に通期営業利益予想を27%上方修正した。

  IDCの台北在勤アナリスト、アナベル・スー氏は、「鴻海は明らかにロボティクスやIoTなどの新興セクターを有望視しており、長期的には同社は多角的なコングロマリットになるだろう」と分析。「鴻海がアップルと協力しているスマホやタブレットなどの主な分野は伸びが鈍化しつつあり、成長率が高い新たなセクターを見つける必要がある。彼らはこの点を得意としている」と話す。

  アップルが昨年9月に発売した「アイフォーン7」は以前のモデルほど買い替えを促すことはできなかったが、新たなスマホ購入者は引き寄せた。年内に発売予定のアイフォーンにとっては良い前兆となっている。

  シティグループや野村ホールディングス、HSBCホールディングスの各アナリストは今月に入り鴻海の投資判断を「買い」に引き上げた。シティのアナリスト、ウィリアム・ヤン氏はリポートで、鴻海のバリュエーション(株価評価)は新型アイフォーンによるインパクトをそれほど反映していないと分析。有機ELディスプレーを備えた機器の組み立てを唯一手掛けることになればなおさらだとの見方を示す。

  ヤン氏は、「アイフォーン8の力強い発売は自明のように見えるが、われわれは市場が今年のアイフォーン出荷の著しい回復見通しをすべて織り込んでいるとは考えていない」と説明。「シャープに対する投資は順調に進展しており、鴻海はアイフォーンと『iPad(アイパッド)』の両方で指紋センサーやカメラモジュールなどの部品提供も可能だ」と述べた。

原題:Apple’s Upcoming iPhone Helps Foxconn’s Gravity-Defying Act (1)(抜粋)

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