20日の東京外国為替市場のドル・円相場は1ドル=113円台前半に上昇。米金融当局から追加利上げに前向きな発言が相次いでいることに加え、日本株の上昇も支えとなり、ドル買い・円売りが優勢となった。

  午後3時33分現在のドル・円は前週末比0.3%高の113円20銭。朝方に112円77銭まで下げた後、午後には日本株が上昇に転じたのに連れて、113円24銭まで水準を切り上げた。

  JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉為替調査部長は、「欧州政治情勢は米利上げのタイミングに影響しないと思う。米消費者物価指数(CPI)が予想から上振れたことを受けて、利上げせざるを得ないのではないか」と指摘。同社は次回の米利上げ予想を6月から5月へ前倒しており、「今年の米利上げが2回か3回かと言われれば、3回の方にリスクは傾きつつある。6月まで待つと年3回は難しくなる」と説明した。

  米クリーブランド地区連銀のメスター総裁は20日、シンガポールでの講演後の質疑応答で、米連邦準備制度理事会(FRB)が「金利で後手に回っていると思わない」と発言。インフレ圧力が高まる中で、米金融当局が政策金利を引き上げていくことは「心地よい」との考えを示した。

  財務省が20日発表した1月の貿易収支は前年比67.8%増加の1兆869億円の赤字となり、5カ月ぶりの赤字に転じた。市場予想は6259億円の赤字だった。正月休みに伴い輸出が伸びず、輸入は円安の進行や原油価格の上昇で25カ月ぶりに増加に転じたことが主な要因。

  この日の東京株式相場は下落して始まった後に持ち直し、3営業日ぶりに反発。TOPIXは前週末比0.2%高の1547.01で取引を終えた。

  20日の米国は、プレジデンツデーの祝日で株式・債券市場が休場となる。

  ドイツ証券の田中泰輔チーフ為替ストラテジストは、20日付のリポートで、ドル・円について「短期的リスクは上下両方向で拮抗(きっこう)している」としながらも、「向こう3カ月であれば、米長期金利も、ドル・円も、上方トライを再開する可能性が高い」と予想。「この期間には、トランプ政策がどう予算に落とし込まれるか、FRBの次の利上げは6月か5月か3月か、具体化へ前進するはずだ」と説明し、ドル・円は115円超へ水準を切り上げると見込んでいる。

  前週末17日の米国市場では、フランス大統領選など欧州政治への懸念を背景に、米長期金利が一時5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低い2.40%程度まで低下。ドル・円は一時112円62銭と、9日以来の水準までドル安・円高が進んだ。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.1%安の1ユーロ=1.0608ドル。フランス大統領選をめぐる不透明感を背景に、朝方には一時1.0602ドルと2営業日ぶりの水準までユーロ安・ドル高が進んだ。欧州では20日、トゥスク欧州連合(EU)大統領とペンス米副大統領がブリュッセルで共同記者会見を行うほか、ユーロ圏財務相会合が開かれる。

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  今春の仏大統領選挙では、左派候補2人が共闘を模索しており、実現すれば中道の候補者が決選投票への進出を阻まれ、反ユーロを掲げる極右政党、国民戦線(FN)のルペン党首が勝利する可能性が高まるとの観測が浮上している。

  JPモルガンの棚瀬氏は、「欧州政治リスクが高まるとユーロは売られやすい。一方、ドルの下値は固い」と分析。「イエレンFRB議長のタカ派発言や米経済指標が強い数字が出ていることはドル高方向の材料。もっとも米金利が上がりづらいので、ユーロ・ドルの下値も限定的となっている」と述べた。

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