米アップルは今月初め、アマゾン・ドット・コムのファイアTV部門責任者だったティモシー・トワーダール氏をテレビ事業責任者として引き抜いた。ハードウエアとコンテンツの領域で経験を持つ同氏の採用は、アップルがここにきてまたTV事業を重視するようになったことをうかがわせる。

  同社は第5世代「アップルTV」の開発を進めており、早ければ年内にも発売する。開発計画を知る複数の関係者によれば、この製品は高解像度の4K対応で、より鮮明な色彩を再現できる見通しだ。

 サンフランシスコの製品発表会で話すティム・クックCEO
サンフランシスコの製品発表会で話すティム・クックCEO
Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

  消費者が4Kテレビへのアップグレードを進める中、こうした機能の追加はアップルTVの販売台数を押し上げることになりそうだが、このような改良だけで同製品が「iPhone(アイフォーン)」級の革新的製品になることはおそらくない。関係者によると、アップルの技術者らは再三再四、リビングルームに革命を起こすという当初のビジョンについて妥協を強いられている。

  アップルTVには当初、ケーブルテレビ会社が提供するやぼったいセットトップボックスに代わり、生放送番組をストリーミングする製品というコンセプトや、家庭用ゲーム機との競争で優位に立つため、現行モデルとゲームコントローラーを抱き合わせにすることなどを考慮したが、いずれも実現しなかった。

  アップルはテレビを事実上、一連のアプリと「アップストア」を備えた巨大なアイフォーンに仕立てるという妥協に至った。匿名を条件に社内事情を語った関係者の1人は「やりたかった事はそれではない。自分は革命的なことをやろうと思って来たが、進化的なものにとどまった」と話す。米投資銀行パイパー・ジャフレーのアナリストとしてアップルを10年以上担当し、現在ループ・ベンチャーズを経営するジーン・マンスター氏はアップルTVについて、「なぜアップルは趣味に手を出すようなことをするのか。真剣にやるか、そうでないなら完全にやめるかのどちらかにすべきだ」と語った。

 アップルTV最新機種
アップルTV最新機種
Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

  アマゾンでファイアTV事業を統括したトワーダール氏の起用を受け、アップルTV責任者の役から外れたピート・ディスタド氏を活用し、コンテンツ合意を取り付けたり、ユーザーが必要なチャンネルだけ選べる「スキニー・バンドル」を復活させたりする可能性はある。ディスタド氏は2013年のアップル入社前、フールーでコンテンツ配信担当だった。トワーダール氏はアマゾンの前にネットフリックスとロクでも勤務していた。ループ・ベンチャーズのマンスター氏は「アマゾンからの人材引き抜きは、新風を吹き込む思いがアップルにあることを示している。現状が鳴かず飛ばずだと自覚しているのではないか」と指摘。同社はアップルTVの問題を解決しなければ「リビングルームの戦いに負ける」恐れがあると話した。

原題:Apple Vowed To Revolutionize TV. An Inside Look at Why It Hasn’t (1)(抜粋)

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