北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男氏が不審な死を遂げたことで、核に関する同委員長の野望を抑えるため中国が圧力をかけられる手段が失われた。

  北朝鮮国外で長年暮らしていた金正男氏(45)は、中国と密接な関係を持っていた。機密情報に関して説明を受けた韓国の議員によれば、同氏は北京とマカオでそれぞれ家族を持ち、中国当局の保護下にあった。

金正男氏に関するニュースを見る市民(ソウル、14日)
金正男氏に関するニュースを見る市民(ソウル、14日)
Photographer: Jung Yeon-Je/AFP via Getty Images

  マレーシアの国際空港で今週起きたスパイ小説もどきの金氏殺害は、北朝鮮当局の動きが地政学上の重大な誤算を生じさせ得るリスクであるとの懸念を強めた。金委員長の指示で繰り返し行われている核実験とミサイル試射で米国と中国には不安が広がり、北朝鮮の後ろ盾で盟友である中国は難しい立場に追い込まれている。

  金正男氏は殺害の何年も前から北朝鮮指導部に遠ざけられていたが、同氏の排除を金委員長は以前から指示していたと伝えられる。同委員長にとって金正男氏は、自身が取って代わられる恐れのある存在であり、中国にとっては北朝鮮に対して暗黙のうちに影響力を行使できる存在だった。

  中国共産党の新聞で副編集長を務めた鄧聿文氏は、「金正恩委員長は中国の忍耐力を試している」と指摘。「中国当局が金正恩体制の完全な崩壊を見たくないのであれば、金委員長に代わる人物を望むだろう。これが金正恩氏が異母兄に対して懸念を強めていた理由だ」と述べた。

原題:China Loses a Friend, and Leverage, With North Korean Murder (1)(抜粋)

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