米国のポップ歌手、ケイティ・ペリーのファンが10日朝に目を覚ますと、スマートフォンには新曲「チェインド・トゥ・ザ・リズム」のストリーミング配信が始まったとの電子メールが届いていた。

  フェイスブックのウォールにも同じ通知があった。ケイティ・ペリーの公式フェイスブックには、7000万人を超えるファンが「いいね!」とクリックし、情報をフォローしている。通知効果はこれでも足りないのか、ロサンゼルスとロンドンに住むファンはさらに、通勤途中の屋外広告が視界に入る。

  ケイティ・ペリーにとって何が素晴らしいかといえは、これがすべて無料ということだ。

  世界で最も利用者数が多い有料音楽配信サービス、スポティファイは今回5作目となる彼女のスタジオアルバムの宣伝で提携し、今夏の発売日まで数カ月間かけて広告キャンペーンを打つ。最新アルバムは2013年に大ヒットした「プリズム」以来、4年ぶりとなる。

  ケイティ・ペリーのPRを担うダイレクト・マネジメント・グループのパートナー、マーティン・カーカップ氏は「スポティファイ側から『新曲宣伝に会社全体で力を入れ、あらゆるレベルで応援したい』との申し出があった」と述べ、「屋外広告はこちらから頼んだものではなく、スポティファイからの提案だった」と説明した。

  ストックホルムに本社を置くスポティファイはこれまで、ロイヤルティーの支払いや楽曲の無料提供などでアーティストから批判を受けてきた。なかでも米歌手のテイラー・スウィフトが2014年にスポティファイへの楽曲提供を拒否したのは有名な話だ。レコード会社との対立や新規株式公開(IPO)に向けた準備を進める中で、同社はこの一年、音楽業界との関係を改善しようとチームを編成しサービスを拡充してきた。

  スポティファイのチーフコンテンツ責任者ステファン・ブロム氏はインタビューで、「自社の位置付けやアーティストとの良好な関係について、ずいぶん検討した」と述べ、「これまでアーティスト・マーケティングチームがなかったが、今はある。トロイと自分、そしてアーティストのマネジャーやレコード会社を交えた対話が直接もたらした結果だ」と続けた。

  彼が言うトロイとは、多くの有名人のマネジャーを務め、今ではスポティファイのクリエーターサービス世界責任者であるトロイ・カーター氏のことだ。

  カーター氏は新興企業に投資するエンジェルファンドを通じてスポティファイにすでに投資しており、昨年6月に音楽業界との間を取り持つチーフリエゾンとして同社に入社した。同氏はレコード会社や音楽パブリッシャー、広告代理店などから人材を引き抜いて少数のチームを編成し、アーティストのニーズに対応できるようスポティファイを支えている。カーター氏は「それが私の役目だ」と話す。

  スポティファイの利用者は昨年1億人を突破し、有料ユーザーも4000万人と、アーティストにとっては無視できない存在になった。カーター氏は「ラジオ曲がアルバムに収められている18曲すべてを流すことはない」、「ロック専門局が『ザ・ウィークエンド』のようなR&Bシンガーを取り上げることもない。スポティファイは4万5000もの選曲リストを通じて、新たなリスナーを掘り起こす手助けができる」と述べた。  

原題:Spotify Befriends Katy Perry in Quest to Win Artists’ Favor (1)(抜粋)

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