東芝は氷山にぶつかった船だ。

  少しでも積み荷を減らし船を身軽にしようと、綱川智社長が目を付けたのは半導体事業だ。

  当初、東芝が被るダメージはそれほどひどくないように見えたため、半導体事業は最大20%売却すれば十分に思われた。しかし、原子力事業が東芝本体に巨大な穴を開けたことは今や明白で、同社の14日発表資料の中には半導体事業の過半数譲渡の可能性が示された。

  そして、綱川社長は同日遅くの記者会見で、同事業を全て売却する可能性もあると発言した。

  これは買収を考えている者には素晴らしいニュースだろう。1月のコラムで私は、少数株の取得では買い手に戦略的価値を大してもたらさないと主張した。海岸に打ち上げられた靴の片方だけ見つけるようなものだからだ。だが今は、靴が一足そろって箱に詰められ、包装紙でくるまれた感じだ。

  東芝と半導体事業の買い手にとって、同事業全体(100%)の価値は単純に20%の5倍というよりもはるかに大きい。メモリーは規模の経済が物を言い、それが競争力を決めるからだ。

  シャープを買収した台湾の鴻海精密工業のように、東芝の半導体事業の買い手が過半数株を握れば、同事業を自社に統合し、規模を拡大、効率を上げてコストを削減できる。また、東芝の「NAND型フラッシュメモリー」の市場シェアは20%前後と高いため、買い手は顧客に対する交渉力を高められるだろう。

  悲しいことに東芝の株主にとっては、同社のドル箱の一つに別れを告げることを意味する。だが、宝物が沈んでしまうより明らかにましだろう。(ティム・クルパン)

(このコラムの内容は必ずしもブルームバーグ・エル・ピーの意見を反映するものではありません。)

原題:Toshiba’s Sinking Ship Is Right to Jettison Heavy Jewels: Gadfly(抜粋)

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