経営再建中の東芝は14日、2016年4ー12月期の監査法人承認前の暫定決算を発表した。原子力事業をめぐる減損損失として7125億円を計上、今期末の株主資本がマイナスとなる見通しを示した。

  発表によると、今期末の純損益見通しは3900億円の赤字(従来予想は1450億円の黒字)となり、3期連続の巨額赤字となる。資産売却を進める前の今期末の株主資本は1500億円のマイナスとなる見通し。4-12月期の純損益は4999億円の赤字(前年同期4794億円の赤字)だった。財務数値は独立監査人の監査を経て大きく修正される可能性があるという。15年末に買収した米原発関連建設・サービス社、CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)の取得価格と純資産の差にあたる「のれん」が膨らみ、減損損失が増加した。

原発事業で巨額損失計上を迫られる東芝
原発事業で巨額損失計上を迫られる東芝
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

 東芝は不正会計問題からの立て直しを進める中、企業統治を強化するとともに原子力事業を主力事業の一つに位置付けて再建に取り組んでいた。こうした中で米原子力子会社、ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が買収したS&Wの減損損失を調べる中で内部統制の不備を示唆する内部通報があり、調査のために決算が最大1カ月遅れる事態となった。

  綱川智社長は14日の記者会見で、決算発表延期について「多大なるご迷惑を掛け、心よりおわびする」と陳謝。現在の経営問題の原因として、WH買収を含め原発事業の拡大がこうした事態につながったとの認識を示した。今後は社会インフラを軸にエネルギーなどで再建を図る考えだとした。東芝は上場廃止回避に向け3月15日以降に提出する内部統制改革報告も並行して策定する考えという。

東芝は崩壊しつつある

  BGCパートナーズの日本株セールス担当マネジャー、アミール・ アンバーザデ氏(シンガポール在勤)は「東芝は崩壊しつつある」と話し、「破綻することなく生き残るとは思うが、成長が期待できる会社としての東芝は終わりになる」との見方を示した。

  東芝は原子力事業について「原子力事業監視強化委員会」を設置し、建設作業に遅れが出ている課題プロジェクトのリスク評価と監視を行う。海外事業については新設プラントの土木建築部分のリスクは負担せず、機器供給やエンジニアリングに特化する。国内事業は再稼働・メンテナンス・廃炉を中心に事業を継続するとした。綱川社長は会見で、原子力事業についてWHの株式保有比率(現在87%)を下げることも考えると話した。

  巨額減損の穴埋めのため、メモリ事業の過半数譲渡を含む外部資本の導入を検討する。これまでは20%未満の株式を売却するとしていたが、綱川社長は会見で柔軟な姿勢で臨むとし、「全て売却する可能性もある」と述べた。スマートフォン向けの記憶媒体などを生産する同事業は東芝にとっては虎の子で、この分野の過半数を手放してでも財務体質の強化を図らざるを得なくなった。これ以外のグループ会社売却は考えていないという。

原子力産業

  福島第一原発の事故を踏まえて先進国を中心に各国が規制を強化しており、原発建設事業のコスト負担が計画を上回る事例が相次いでいる。社外役員を務める経済同友会の小林喜光代表幹事は14日の記者会見で「そういう産業が一企業としてなりたつのか、これは考えていかなければならない」と語った。会見で、民間企業が負担を担える範囲を超えており、政府の支援が必要になるのではとの質問に、綱川社長は「政府に絡んだことは言うことはない」と回答を控えた。

志賀会長
志賀会長
Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg *** Local Caption *** Shigenori Shiga

  志賀重範会長が経営責任を取り15日付で退任する。また綱川社長は基本報酬返上率を従来の60%から90%に引き上げる。
  

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