14日の東京外国為替市場ではドル・円相場が下落。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の議会証言を控えて小動きだったが、マイケル・フリン米大統領補佐官の辞任や日本株の下落を手掛かりにリスク回避の動きが強まった。

  午後4時25分現在のドル・円相場は前日比0.3%安の113円42銭。午前は113円台半ばから後半でもみ合っていたが、午後1時前にフリン氏辞任が伝わると113円40銭前後まで下落。さらに日本株が引けにかけて一段安となると、113円27銭まで値を下げた。

  しんきんアセットマネジメントの加藤純シニアファンドマネージャーは、先週末の日米首脳会談が無風だったため、ドルロング(買い持ち)になっていた向きもいたとみられ、フリン氏辞任報道で「短期的なドルロングの巻き戻しの材料になったのではないか」と分析。「基本的にトランプ政権の通商政策が保護主義的なことには変わりないし、『驚異的な』税政策についても具体的なものが出ているわけでもない。イエレン議長がタカ派的なサプライズをもたらさない限り、目先のリスクは下方向だろう」と話した。 

  フリン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が13日に辞任した。ロシア当局者との不適切な接触の疑惑が論争を招いていた。ホワイトハウスのスパイサー報道官は同日遅くにフリン補佐官の辞任を公表した声明で、フリン氏の首席補佐官だったキース・ケロッグ氏が国家安全保障問題担当の大統領補佐官代行に指名されたことを明らかにした。

  14日の東京株式相場は3営業日ぶりに反落。TOPIXは年初来高値を更新して始まったものの失速し、午後にフリン氏辞任のニュースが伝わると下げ幅を拡大した。

  三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、フリン氏辞任は「いろいろなことに関して政策がうまく進んでいくという期待に少し水を差すようなニュース」と指摘。ただ、今のところトランプ政権への期待は主に経済政策面での期待感で、「国防関係での重要ポストではあるが、経済政策面で直接つながりがあるわけでないので、これで一気にマーケットの期待剥落にはまだならないと思う」と話した。

イエレン議長の議会証言に注目

  イエレン議長はこの日、上院銀行委員会で証言する。金融政策については、次回の連邦公開市場委員会(FOMC)を前に当局の選択肢をオープンにしたままにする見通し。ただ、複数の政策当局者は利上げの可能性を排除すべきでないと述べている。議会証言では、FRBのバランスシート規模縮小の時期や方法などをめぐる議論も注目される。

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  米金利先物動向に基づくブルームバーグの算出では、3月利上げの予想確率は3割。ダラス連銀のカプラン総裁は「早めに行動することで、将来の緩和策の解除を緩やかに実施できる可能性が一段と強まる」と述べた。14日発表の1月の米生産者物価指数(PPI)は前月比0.3%上昇の予想。昨年12月は同0.2%(修正値)だった。

  SMBC信託銀行プレスティアの二宮圭子シニアFXマーケットアナリストは、前回の雇用統計で賃金が思ったほど伸びず、3月のFOMCまでに雇用統計の発表が1回しかないことを考えると、今回の証言で「3月の利上げの可能性を示唆するという展開は難しいだろう」と指摘する。

  三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストも、利上げについては「データ次第と具体的ヒントを与えないいつものパターン」を予想。ただ、バランスシート縮小について「何らかの前のめり気味の発言」が出れば、市場も反応する可能性があるとし、「それを景気回復の証と前向きに捉えるのか、嫌気して株にストレスがかかるのかは発言のトーン次第」と語った。

  ブルームバーグのデータによると、ドルは主要10通貨全てに対して前日終値比で値下がり。対ユーロでは1ユーロ=1.0591ドルと1月19日以来の高値をつけた後、1.06ドル台前半まで反落した。

  中国がこの日発表した1月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.5%上昇した。予想は2.4%上昇で、昨年12月の2.1%上昇から伸びが加速した。1月終盤から1週間にわたる春節(旧正月)連休が押し上げに寄与した。1月の生産者物価指数も同6.9%上昇と12月の5.5%上昇から加速し、予想(6.5%)も上回った。

  オーストラリア・ドルは上昇。豪企業景況感指数の上昇や中国の物価指標の上振れを受けた豪ドル買いに、フリン氏ニュースを受けたドル売りも加わり、1豪ドル=0.76ドル台前半から0.76ドル台後半と直近高値付近まで値を切り上げた。 

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