2017年の日本経済を取り巻く環境はここ数年で最高との見方が、エコノミストの間に出てきている。世界経済の回復が需要を押し上げ、政府の財政政策も後押しをするという構図だ。

  メリルリンチ日本証券やJPモルガン証券などは、今年の日本経済は潜在成長率(0.8%)の約2倍の成長を達成すると予想している。足元で輸出は12月に15年9月以来初めて増加し、生産も2カ月連続で回復が続いている。消費者物価指数もマイナス幅を縮小しており、円安やエネルギー価格の上昇を受けて年内にプラス圏に浮上するとエコノミストはみている。

  日本経済は「4年ぶりに最高の状況」とみるのは、メリルリンチ日本証券のデバリエいづみ主席エコノミストだ。背景の一つとして拡大している財政政策を挙げる。同氏は今年の実質GDPを1.5%増と予想する。ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値は1%で、13日発表された16年と同じ伸び率となっている。デバリエ氏の今年の予想はエコノミスト調査の中で2番目に高い水準。アベノミクス元年の13年の成長率は2%だった。

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  目先で景気の腰を折るような材料は見当たらない。消費増税はすでに延期され、日本銀行は緩和政策を続けている。問題は今回の景気拡大が自律的かつ持続的なものにつながるかどうかで、その鍵を握るのが企業の動向だ。円安によってこれまで大手の輸出企業の収益が数字の上で膨らんできたが、人口減少で国内マーケットが縮小する中、国内の設備投資や賃上げには慎重な姿勢が続いている。

  変化が起きるのは非製造業分野の設備投資かもしれない。人手不足が深刻になり、小売りやサービス業や物流では機械化などを通じた生産性の向上が避けて通れない。政府も非製造業でのロボットの市場拡大を狙っている。

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  人手不足は、ゆっくりではあるが労働市場に重要な変化をもたらしている。総務省の労働力調査によると、15年と16年は正社員の増加数が非正規の増加数を上回った。同調査の16年の基本集計をみると正社員が前年より51万人増加。15年以前の詳細集計と比較すると、増加数は統計を取り始めた02年以来最大となっている。

  こうした傾向は、非正規労働者が増えることによって所得も消費も伸び悩むという流れに歯止め掛がかかっていることをうかがわせる。デバリエ氏は、非製造業の設備投資ニーズや労働市場の変化を理由に、「今回の景気回復には内需拡大の後押しがある可能性がみられる」と言う。

  一方、日本経済の根本的な構造は変わっていないとみるエコノミストもいる。
  明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミストは、成長をけん引するのは引き続き外需との見方だ。好調な米景気を背景に「円安、株高のトレンドは大崩れしない」と指摘。内需は基本的には弱く設備投資も賃金上昇もあまり進まないので、「内需主導の自律的な前向きな循環というのは働かない」と言う。同氏は17年の実質GDP1.3%増を予想。リスク要因としてはトランプ米政権による保護主義台頭を挙げる。

  JPモルガン証券は今年1.6%の成長を見込んでおり、ブルームバーグ集計の中では最も高い予想となっている。しかし18年は0.7%増への減速を予想する。同証の足立正道シニアエコノミストは17年の成長について、顕著な海外需要を背景とした設備投資に加えて、財政政策の効果によるところが大きいと指摘。政府が目先の循環的な景気回復を重視し、ショックのたびに財政出動をして政府債務が悪化するという大きな構造は変わってないという。

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