来週の債券市場では長期金利に低下圧力がかかりやすいと予想されている。日本銀行が先週から指し値オペや国債買い入れオペを積極的に実施し、金利上昇抑制姿勢を示していることが背景にある。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「日銀は長期債利回りの上昇を抑える姿勢を続けている」とし、「長期金利に上昇圧力がかかれば、指し値オペなどを実施し利回りの上昇を抑えよう」と予想。一方、「13日に発表される10-12月期の国内総生産(GDP)では、景気の緩やかな回復基調が確認される見通し」と言い、「景気回復期待から上値追いには慎重な姿勢が目立つだろう」とみる。

  今週の新発10年物国債345回債利回りは0.09%で開始。週前半は0.10%まで売られる場面が多く見られたが、連続で5-10年の国債買い入れオペが入ったことや、9日の30年利付国債入札で最低落札価格が市場予想を上回ったことなどから0.085%まで低下した。

過去の長期国債買い入れオペの結果はこちらをご覧ください。
  

日本銀行本店
日本銀行本店
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  日銀は10日の金融調節で、残存期間「1年超3年以下」、「3年超5年以下」、「10年超25年以下」、「25年超」の国債を買い入れるオペを通知した。このうち、10-25年が2000億円、25年超が1200億円と、それぞれ前回から買い入れ額が増額された。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「今月は5-10年のオペが大幅な増額となりそうだ」とし、残存10年超のオペも増額され、「10年債が1週間前の指し値オペ時の金利水準からあまり下がっていないので、せっかくの相場の戻り歩調をしっかりサポートしたかったのではないか」と説明。「年80兆円増の買い入れペースを考えるとだいぶ余力があるので、増やせるうちに増やしておこうという気持ちもあるのかもしれない」とみる。

  8日には新発30年債利回りが0.915%、新発40年債利回りが1.07%と、いずれも昨年2月以来の水準まで上昇したが、10日にはそれぞれ0.85%、1.00%まで切り下げた。新発20年債利回りも0.665%と、2日以来の水準に低下した。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「欧米金利が上昇基調をたどる可能性があるが、円債は日銀のサポートが見込まれる」と指摘。「日本国債が米独の国債に対してアンダーパフォームしていたこともあって、今後は円債がアウトパフォームしていくと思われる。円債は売ってももうかる状況ではなくなっている」と言う。

  来週は財務省が14日に5年利付国債入札、16日には投資家需要の強い既発国債を追加発行する流動性供給入札を実施する。松川氏は、「5年債入札は現在の水準より安くなるかもしれないが、場合によっては日銀のサポートが見込まれることから、それほど崩れないのではないか」とみる。

市場関係者の見方

*T
◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
*最近のオペで全体的に応札倍率が低下し、業者の在庫が軽くなっている可能性
*入札全体に対する懸念も低下していくのではないか
*長期金利の予想レンジは0.05%~0.10%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*日米首脳会談の結果次第だが、トランプ期待相場も回復しそうな気配
*日銀は引き続き利回り上昇抑えるだろうが、利回りの低下は進みづらい
*長期金利の予想レンジは0.06%~0.10%

◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*超長期債利回りの上昇に対する不安はひとまず払しょく
*残存5-10年のオペ、今月はこれまでより1回多い7回になるか注目
*長期金利の予想レンジは0.045%~0.115%
*T

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