債券市場では超長期債相場が上昇。日本銀行が残存10年超の国債買い入れオペを増額したことを受けて買いが優勢の展開に転じた。半面、トランプ米大統領政権による政策期待を背景にしたリスク選好の動きで先物は軟調に推移した。

  10日の現物債市場で新発20年物の159回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいの0.68%で開始後、1.5ベーシスポイント(bp)高い0.695%まで上昇。午後は0.665%まで低下した。新発30年物の53回債利回りは1bp高い0.88%まで上昇後、0.85%まで下げた。長期金利の指標となる新発10年物国債の345回債利回りは1.5bp高い0.095%を付けた後、0.085%に戻している。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「超長期債利回りの上昇に対する不安はひとまず払拭されている。今日の残存10年超のオペは10年債が1週間前の指し値オペ時の金利水準からあまり下がっていかないので、せっかくの相場の戻り歩調をしっかりサポートしたかったのではないか」と指摘。「年80兆円増の買い入れペースを考えると大分余力があるので、増やせるうちに増やしておこうという気持ちもあるのかもしれない」と述べた。

  長期国債先物市場で中心限月3月物は前日比10銭安の149円88銭で開始。午前10時10分の日銀オペ通知後にいったん戻した後、149円79銭まで下げた。午後は下げ幅を縮め、結局は6銭安の149円92銭で引けた。

  日銀はこの日午前の金融調節で、残存期間「10年超25年以下」を2000億円、「25年超」を1200億円と、ともに前回から100億円ずつ増加した。増額は昨年12月14日以来となる。一方、1年超3年以下」が4000億円、「3年超5年以下」が4200億円と、いずれも前回と同額だった。オペ結果では応札倍率が全年限で低下した。

国債買い入れオペの結果はこちらをご覧下さい。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、超長期ゾーンの増額について、「もともと予想通り。昨日30年入札を無難にこなし、後場引けにかけて強かったのは多少は増額期待の織り込みがあったとみている」と指摘。「センチメントが一気にリスクオンにまた傾いてきているし、抑えにいった。またトランプ相場が盛り返した中で売り圧力があり、そういう中での日銀の対応。しっかり打ってきた」と述べた。

トランプ政策期待

トランプ米大統領
トランプ米大統領
Bloomberg

  トランプ米大統領は9日、法人税改革の「驚異的な」プランが今後「2、3週間」内に発表されると述べ、期待感を高めた。 

  9日の米債相場は下落。米10年国債利回りは前日比6ベーシスポイント(bp)高い2.39%程度で引けた。トランプ米大統領が近く税制について発表すると述べたことが背景。同発言を手掛かりに、市場では6月までの利上げ確率が上昇した。米株式相場は上昇し、S&P500種株価指数は0.6%高の2307.87で終えた。ニューヨーク外国為替市場ではドルが対円中心に上昇した。

  日米首脳会談について、マスミューチュアル生命の嶋村氏は、「トランプ米大統領の発言は保護主義的なことばかりで、日本の輸出産業に好都合な内容は何も出てきていない。今回の日米首脳会談で為替操作国の疑いを外してもらうには至らずに帰ってくるのではないか。引き続き米国第一の姿勢は変わらず、ゴルフはして、融和はしてこないのではないか」と述べた。

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