安倍晋三首相は10日に開催される日米首脳会談で、為替政策について主要7カ国(G7)や主要20カ国(G20)など国際的な枠組みで議論されることが望ましいとの見解を示し、トランプ米大統領との間で共通の理解を得たい考えだ。政府関係者が9日、明らかにした。

  政府関係者によると、安倍首相は日本銀行の金融政策は円安誘導を目的としたものではなく、デフレ脱却という国内政策目的のために行っていることも説明する。併せて、日本がしばらく為替介入をしていないという事実も伝える見通しという。

  トランプ大統領はこれまで中国とともに日本についても「通貨安誘導をしている」と批判。同大統領の発言は日銀の金融緩和政策がもたらした円安環境を指しているとの見方から、日本の立場を明確にする。

  安倍首相は1日の国会答弁で2%の物価安定目標達成のために適切な金融政策を日本銀行に委ねているとし、「円安誘導という批判は当たらない」と強調。「必要を要すればそういう説明をしていくことになる」と答弁していた。また、為替を含め経済、貿易に関しても日米間でよく意思疎通を図っていくことが重要だと発言していた。

  為替政策については昨年9月のG20杭州サミットで、「通貨の競争的な切り下げを回避する」ことを再確認し、「関係当局は為替市場に関して緊密に協議する」との方針で合意していた。また、英国の欧州連合(EU)離脱が決まった同6月には「市場の動向と金融の安定を緊密に協議し、適切に協力する」と記したG7財務相・中央銀行総裁の緊急共同声明を発表した。

  政府関係者によると、今回の首脳会談には麻生太郎副総理兼財務相とペンス副大統領も同席する方向で調整しており、日本は両者をトップとした日米の経済協議の枠組みについても議論したい考え。会談後には安全保障や経済に関する合意文書を発表する方向で調整しているという。

自動車貿易

  トランプ氏は米国の貿易赤字も問題視しており、トヨタのメキシコ工場建設をめぐって「米国に工場を建設しろ、さもなければ高い関税を支払え」などとツイッターで批判を繰り広げてきた。関係者によると、安倍首相は自動車産業を含め、日本が投資や雇用で米国に貢献していることを数字を挙げて説明する。

  麻生財務相は7日の閣議後会見で、日米間の自動車貿易の現状について、1)日本の関税はゼロ、米国は関税が2.5%、2)米国への輸出は1986年の343万台から15年には160万台に半減、3)米国での現地生産は43万台から386万台へと9倍増加、していることなどを挙げ、反論していた。

  米商務省によると、16年の米国の貿易赤字は12年以来最大となり、国別では日本が中国に次いで2番目の大きさとなった。一方で、日本の16年の経常収支は20兆6496億円の大幅な黒字となり、比較可能な1985年以降で07年(24兆9490億円)に次ぐ2番目の高水準となった。

 

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