日立製作所三菱重工業の株価が下落している。日立は8日、合弁会社の南アフリカ共和国のエネルギー関連事業の譲渡価格調整をめぐる協議で、三菱重から昨年3月請求時の2倍の約7634億円の差額支払い請求を受けたと発表。両社とも譲渡金額をめぐる協議は続けるとの意向を示したものの、先行きの不透明なリスクが高まり売りが先行した。

  日立の株価は一時、前日比8.5%安の619.4円と7カ月ぶりの下落率。終値は8.0%安の622.3円だった。日立の株価は前日に昨年来高値を更新したばかりだった。東証1部市場の出来高3位、値下がり率は7位だった。三菱重の株価も一時同3.8%安の449.5円と、昨年11月10日以来の水準まで下落した。終値は同3.5%安の451円だった。

  日立は、請求について「契約に基づく法的根拠に欠けるため請求に応じられない」と昨年の請求時と同様の回答を行ったと8日の声明に明記。ただ協議は継続するとしている。これに対して、三菱重は昨年から最終譲渡価格で暫定譲渡価格との差額を調整する合意があると主張。同社はブルームバーグの取材に対し、増額の理由や請求の内容については「先方との契約、また協議の過程であることから回答できない。日立製作所とは誠意をもって協議を継続している」 と電子メールで答えた。

  独立系投資顧問、バリューサーチ投資顧問の松野実社長は、両社の株価下落についてトラブルが深刻化したためと話した。業績が好調で株価も右上がりだった日立の方が下げ幅は大きく、一方で三菱重はこれまでかなり売り込まれていたことから下げ幅は限定的と指摘。しかし「下げ幅でこの問題を測ることはできない。事業面で不調が続く三菱重の方が、損害を受けた場合のダメージとしては大きいのは明白だ」と語った。

  メリルリンチ日本証券の平川幹夫リサーチアナリストは8日付のリポートで、日立について今回の発表は「唐突感が強いこと、暫くの時間を要するとみられることから、株価は短期的に弱含む可能性が高い」と指摘。そして「本件が決着すれば不採算プロジェクトによる日立の業績悪化リスクは大幅に低減すると考える」とした。その上で、日立の連結業績は「着実に改善している」とし、投資評価「買い」を継続とした。

  バリューサーチ投資顧問の松野氏は東芝の米原発問題と時期も重なり、海外事業のリスクが顕在化していると話す。「詳細が開示されず先行きも分からないため、株主を不安にさせている。日本を代表する二大エネルギー関連企業であり、早い段階で決着を付けることが必要」との見方を示した。

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