米国市場で日本勢として最も多額の販売奨励金(インセンティブ)をつぎ込んでいる日産自動車は、昨年10ー12月の決算で円高などで大幅な営業減益となる中、費用抑制に取り組む方針だ。

  日産自の田川丈二常務は9日の決算会見で、市場の成長が鈍化している北米市場の競争環境が激化し、売れ筋のSUVなどトラック系の販売比率が比較的低い日産自の奨励金は増加しているとした上で、今後は北米市場で利益と台数成長の「両方のバランスをとった経営をしていきたい」とし、奨励金を「抑えていく取り組みをしたい」と話した。

  調査会社JDパワー・アンド・アソシエイツによると、日産自は高級車ブランド「インフィニティ」を含め、昨年の米国市場で1台当たり3715ドルの奨励金を使っていた。日本勢としては最大の額だった。

  決算資料によると、10-12月の営業利益は前年同期比15%減の1635億円となり、純利益は法人税の負担減などで同3.5%増の1317億円だった。ブルームバーグが集計したアナリスト8人の営業利益予想の平均1697億円を下回った。

トランプ氏の政策注視

  昨年10ー12月は円高で推移したことや、販売諸経費が大幅増となり、営業利益が大幅減となった。ブルームバーグのデータによると、10-12月の為替相場は対ドルの平均値で110円近くとなり、前年同期に比べ12円近い円高となっていた。

  米国のトランプ大統領は国内の産業や雇用を重視しており、一定条件で域内貿易に関税がかからない北米自由貿易協定(NAFTA)を見直す考えを示している。田川氏は、10日の日米首脳会談について「注視していきたい」と話した。

  日産自は北米で米国のほかメキシコにも工場を持っているが、田川氏によると、米国では人気のトラック系モデルの比率が拡大する中、「増産余地はそれほどない」と述べた。部品の現地調達比率については、北米に限らず、引き上げる考えを示した。

  ルノー日産連合が提携している独ダイムラーとのメキシコでの共同プロジェクトについて、田川氏は「今現在は予定通りの進ちょく」と述べ、来年3月末までにインフィニティのモデルをつくる計画に変更はないと話した。同社との協業は「全体的に非常にうまくいっている」とも語った。

GMに迫る

  ルノー日産連合は8日、昨年の世界販売が約996万台になったと発表。日産自が昨年傘下に収めた三菱自動車分が底上げに寄与し、米ゼネラル・モーターズに4000台弱の差に詰め寄り、独フォルクスワーゲンやトヨタ自動車を含むトップ3に肩を並べた。国内販売は昨年11月に新型車を投入した小型車「ノート」が同月の新車販売ランキングで約30年ぶりの首位になるなど好調が続いている。

  三菱自との相乗効果に関して、田川氏は「購買ですでにコストが下がっている」とした上で、本格的な効果が出るのは来期以降になるとの見通しを示した。一方、国内生産については、今期に100万台を達成できる見通しで、新型ノートなどが貢献しているという。

  国内の大手自動車メーカーの決算では、トヨタ自動車、ホンダとも円安などで今期業績予想を上方修正していた。

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