9日の東京株式相場は反落。為替のドル安・円高への警戒や米国の通商政策に対する不透明感が強く、業種別下落率1位の輸送用機器株をはじめ、電機や機械など輸出株中心に安い。個別では、総合電機の日立製作所東芝が急落。決算内容が失望された荏原、ブラザー工業の下げも目立った。

  TOPIXの終値は前日比10.60ポイント(0.7%)安の1513.55、日経平均株価は99円93銭(0.5%)安の1万8907円67銭。

  三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、「為替も株も動きがなくなってしまっている。トランプ米大統領の経済政策は具体策が出てきておらず、予算教書で数字を確かめなければ動けない」と話した。10日の日米首脳会談も、「何が起こるか分からない。過去の経験が通用しないため、予断を持たずに見ないといけない」としている。

東証プレート
東証プレート
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  8日の米国債は4日続伸し、10年債利回りは2.34%と6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げた。財政刺激策が近く発表されるとの期待が後退したため。3日の雇用統計発表後は米早期利上げに対する観測が後退している上、「次の雇用統計ですぐに利上げが決められるほどの強い数字は期待しにくい」と、大和証券投資戦略部の高橋和宏株式ストラテジストは言う。

  きょうのドル・円は、早朝に一時1ドル=111円70銭台と前日の日本株終了時点112円32銭からドル安・円高方向に振れた。大和証の高橋氏は、日米会談では円安や日本の金融政策に対する直接的な批判は出ない可能性が高いとみるものの、「リスクシナリオとして仮に円安を是正すべきとなれば、円高に振れかねない」と警戒姿勢を崩さない。為替動向への懸念は輸出セクターへの売り圧力となり、個別で南アフリカの資産譲渡による請求額が倍増となったことへの懸念が強まった日立、決算発表の延期観測で東芝が相次ぎ大幅安となったことも投資家心理を冷やした。

  もっとも、ファンダメンタルズに対する期待も根強く、日経平均は7日に付けた直近安値(1万8805円)を下回ることはなかった。いちよし証券の大塚俊一投資情報部長は、「国内企業決算は比較的良かったものが多い。為替の円安や電子部品出荷が悪くなかったこと、資源価格上昇などが要因」で、業績面は日本株の下支え要因と分析。日米首脳会談を通過すれば、企業業績に沿った株価形成になると予想している。

  東証1部33業種は輸送用機器や空運、ガラス・土石製品、銀行、ゴム製品、電機、機械など25業種が下落。銀行は、前日の米国株で金融セクターが下落寄与度トップだった影響を受けた。不動産や情報・通信、食料品など8業種は上昇。売買代金上位では、2017年3月期の業績計画を下方修正した荏原、第3四半期決算でのプリンティング事業の営業利益低下がネガティブとゴールドマン・サックス証券が指摘したブラザー工が急落。トヨタ自動車や富士重工業、三菱重工業も安い。半面、四半期利益が予想を上回ったSUMCOは大幅高。東証1部の売買高は19億3351万株、売買代金は2兆2457億円。値上がり銘柄数は659、値下がりは1205。

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