トランプ米大統領が発令したイスラム圏7カ国の国民の入国を一時禁止した大統領令をめぐり、サンフランシスコの連邦高裁判事団は7日の審問で、手厳しい質問を浴びせた。審問の模様はユーチューブで配信され、数十万人が難解な法律問題をめぐる係争に耳を傾けた。

  約1時間にわたった7日の審問は、トランプ大統領就任後3週間足らずのホワイトハウスと裁判所が異例の衝突を演じる場となった。審問には判事3人のほか、大統領令を覆すため提訴した2州側と連邦政府側のそれぞれの弁護士の2人が参加した。高裁は週内に判断を下す可能性が高いが、どのような判断であれ、連邦最高裁に上訴される公算が大きい。

大統領令への反対デモ(1月29日、ニューヨーク)
大統領令への反対デモ(1月29日、ニューヨーク)
Photographer: Jeenah Moon/Bloomberg

  判事らは双方に対して矢継ぎ早に鋭い質問を浴びせ、特に米政府には懐疑的な姿勢を見せた。連邦政府側のオーガスト・フレンジー弁護士は集中砲火に動揺し、「私は法廷を納得させているのか分からない」と漏らす場面もあった。一方、州側のノア・パーセル弁護士も3人の判事のうち1人だけから厳しい質問を受けたが、他の判事が口を挟み同弁護士の主張の1つを支持した。

  審問の終盤にリチャード・クリフトン判事は、トランプ氏が大統領選でイスラム教徒の入国禁止を公約したかどうかを質問。パーセル弁護士は大統領令の意図はイスラム教徒差別にあるとする証拠としてトランプ氏と側近の発言を取り上げた。これに対しフレンジー弁護士は、大統領による国家安全保障上の決定について裁判所が新聞記事に基づいて勘ぐるのは異常だと反論した。

  サンフランシスコの連邦高裁が下すのは、大統領令を全米で停止させた連邦地裁の緊急差し止め命令の是非についての判断だが、今回の審問では大統領が国家安全保障への脅威と見なす人々を排除する権限をめぐる憲法上と手続き上の争いにエスカレートした。

  フレンジー弁護士は特定の国の人が国家の安全にリスクを突き付けるかどうかを判断する唯一の権限は大統領にあると主張。これに対し判事らは、大統領令の対象となったイスラム圏7カ国の出身者が危険を突き付けることを示す十分な証拠を政権が提示したのかと問いただした。
 
  高裁判断の主な争点は、政府の入国禁止令差し止めを求める権限が州政府側にあるかどうか、さらに禁止令はイスラム教徒を差別したものかどうか、ワシントン州とミネソタ州の住民が直接被害を受けたのかどうかの三つに絞られている。

原題:Trump Travel Ban Provokes Harsh Questions by U.S. Appeals Court(抜粋)

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