自民党の西村康稔総裁特別補佐は、日米自由貿易協定(FTA)の早期交渉開始に否定的な立場を表明した上で、より幅広い経済対話を日米間で始めることを安倍晋三首相がトランプ米大統領に提案するとの見通しを示した。その議論のなかで環太平洋連携協定(TPP)の持つ戦略的な意義を説明するという。日米首脳は10日、会談を開く。

  TPP離脱を決めたトランプ氏は2国間での通商協定に意欲を示している。西村氏は6日、ブルームバーグの取材に対し、「FTA交渉というようにはならない」と述べ、「もう少し幅広く、日米の経済全体を話し合うことになる」と説明。そのなかでTPPが持つ意義や価値についても議論していくと話した。通商をはじめ、投資やエネルギーなども議題に含まれるという。

  西村氏は「TPPは机の端っこに置いて、しばらくそっとしておくということだ」と語る。北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉や米英FTA交渉などの課題を持つ米国は日米にまで人員を回す余裕がないとの見方を示し、日米の経済対話も「1年以上はかかるし、すぐにどうこうというわけではない」との考えを示した。その上で「議論をするうちにマルチの枠組みの良さも分かってもらえれば良い」と期待を寄せた。

  みずほ総研の菅原淳一主席研究員は、日米FTAでは関税が主要議題となるため参加国拡大につなげにくいうえ、日本はTPP以上の譲歩を求められる可能性が高いと指摘。一方「幅広い経済対話」であれば、よりルール面に焦点をあてることができると分析した。また、「投資」を議題にした場合、米国の雇用への貢献をアピールできるとも話した。

  安倍政権は13年、TPPを成長戦略の核と位置づけ、交渉への参加を決断。中国をにらみ、日米など共通の価値観を持つ国で作った通商ルールをアジア太平洋に広めようとしたが、トランプ氏は就任直後にTPP離脱を表明した。西村氏は内閣府副大臣としてTPP交渉にあたってきた。

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE