7日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=111円台後半と10週間ぶりの安値圏で推移した。米債利回りの低下を背景にドル安・円高が進んだ前日の海外市場の地合いが継続。日米首脳会談を10日に控えて、円安誘導批判に対する警戒感も重しとなった。

  午後3時52分現在のドル・円は前日比0.1%高の111円87銭。111円60銭と昨年11月28日以来の安値を付けた後は、日本株の下げ渋りもありもみ合いとなったが、上値は111円96銭までとなった。

  クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、日米首脳会談が意識されているほか、欧州の政治リスクもあり、ドル・円の112円割れは「ポジション調整のイメージ」と指摘。その上で、イベントを控えて一段と売り込むこともできないとの見方を示した。

  麻生太郎財務相は7日の閣議後会見で、金融緩和は国内の物価安定目標2%を達成するために向けられているのであり、円安誘導を目的としているわけではないと述べた。また、日米首脳会談に先立ちワシントンに出発した浅川財務官の「為替に関しては今までの議論をきちんと説明して、日本の立場もきちんと説明して、ご理解をいただけたらなと思う」との発言をテレビ朝日が放映した。  

  ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは日米首脳会談について、「本邦個別企業の話や対日貿易赤字、為替や金融政策といったところの話になった場合、ドル・円の下値リスクはトランプラリーの半値戻し110円近辺まで目線が下がってしまう」と指摘。一方、「マクロ的な話で終わらせてまとまれば、ドル・円は戻る目も出てきそうだ」と話した。

  日米首脳会談が近づく中、この日発表される米国の昨年12月の貿易収支は450億ドルの赤字が予想されている。前月は452億ドルの赤字だった。また、8日には日本の12月の貿易収支(国際収支ベース)が発表の予定。黒字額は7389億円と、前月の3134億円から倍増が見込まれている。

  三菱東京UFJ銀行金融市場グループの野本尚宏調査役は、日米首脳会談を前に貿易黒字が拡大した場合、「円買いの動機になってしまうかもしれない」とし、欧州政治リスクなどもあり、「ドル・円の下値は目先110円方向、場合によっては108円台もありうる」と話した。  


欧州政治リスク

  米10年債利回りはアジア時間7日の時間外取引で2.4%を割り込み、2週間ぶり低水準を付けた。フランスで極右政党である国民戦線(FN)のルペン党首が大統領選で勝利するとの懸念が高まっていることが背景にあり、欧州債市場ではフランス国債のドイツ国債に対する利回り格差(スプレッド)が拡大。イタリアの銀行問題や総選挙実施の恐れを背景にイタリア国債の対独スプレッドはここ2年余りの最大となっている。

  ユーロ・円相場は一時1ユーロ=119円60銭と約2カ月ぶりの水準までユーロ安・円高が進行。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.07ドル台半ばから反落し、欧州市場に向けては1週間ぶりに1.0700ドルを割り込んだ。

  JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉為替調査部長は、ユーロ・円もレンジを下抜けてきており、「欧州の政治動向にも注目が必要」と指摘。欧州株安や対独スプレッドの拡大が続き、欧州主導のリスクオフが強まれば、ドルの強さにかかわらず、「ドル・円の上値は重いだろう」と話した。

豪ドル上昇

  オーストラリア準備銀行(中央銀行)は7日、政策金利を1.5%に据え置くことを決めた。ブルームバーグ調査ではエコノミスト28人中27人が据え置きを予想、1人が利下げを見込んでいた。

  オーストラリア・ドルは結果発表後に反発。声明で「豪ドル上昇は経済の調整を複雑にする可能性」と指摘したことを受け、いったん売られたが、その後1豪ドル=0.76ドル台後半まで買い戻された。豪ドル・円相場は朝方に1週間ぶりとなる1豪ドル=85円台前半まで下落していたが、豪中銀の政策発表後には85円台後半まで値を戻した。

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