トランプ米大統領の貿易に関するレトリックについて、投資家は危険を覚悟で気付かないふりをしている。

  これはかつてトランプ政権の発足に強気な見方を取っていたものの、大統領がメキシコや日本、オーストラリアといった同盟国に照準を定めたのを受けて弱気に転じた人たちからの警告だ。大統領選後の相場上昇で世界の株式時価総額は3兆5000億ドル(約390兆円)余り増加し、高利回り債は2012年以来の好調スタートを切っていたが、ラリーは失速した。彼らによれば、米国の産業を保護し、通貨の関係を再定義するという政権の公約は、貿易戦争を誘発して悲惨な結果を招き相場急落を招きかねないという。

  イートン・バンス・マネジメントのマネーマネジャー、マイケル・シラミ氏は先週のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「市場は今、無頓着になり過ぎている」と指摘。同氏は選挙直後こそ強気だったが、今はより慎重な姿勢だと述べ、「政権の論調と政治環境は悪化した」との見方を示した。

  楽観派には、こうした相場の先行きへの警告は「声高な悲観論者」を想起させるものだ。資産家のジョージ・ソロス氏など悲観派はトランプ相場とは逆の方向に賭けていたここ数カ月に苦戦しており、投資家は大統領が約束したインフラ投資や減税、規制緩和に注目している。

  しかしトランプ大統領就任から2週間を経て、この問題は別物かもしれない兆候が高まりつつあるとバンク・オブ・アメリカ(BofA)やラボバンク・インターナショナルは言う。トランプ政権の「米国第一」主義は世界貿易からの後退を意味し、輸出国の通貨急落や法人収入の抑制、米国の消費の落ち込みにつながる恐れがある。

  さらに、トランプ政権は発足当初からカオス的性質を帯びており、昔からの同盟国と論争し、難民政策を突発的に変更して全米で抗議行動を招いており、貿易ルールの突然の変更に伴うダメージが最大限になりかねないとの臆測をあおっている。

原題:Trump’s Trade Rhetoric Sends Warnings to Post-Election Bulls (1)(抜粋)

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