英国の欧州連合(EU)離脱選択で、同国商業不動産への投資は大半の海外投資家の間で冷え込んだ。だが、中東勢はリスクをしのぐポンド急落や商品相場の持ち直しを背景に投資を活発化させている。

  資産運用会社フィデリティ・インターナショナルがまとめたデータによれば、昨年10ー12月(第4四半期)に英不動産市場に投資した海外投資家のうち中東勢が占める割合は24%と、前年同期の10%から大幅に増えた。その他地域からの投資額は軒並み減ったという。

  不動産仲介業者ナイト・フランクのロンドン中心部担当責任者、スティーブン・クリフトン氏はインタビューで、ロンドンの不動産に対して中東の顧客の投資意欲が著しく高まっていると述べ、「2つの主たる理由がある。それは通貨と安定性だ」と指摘した。

  ロンドンの金融街シティーのオフィス価格は英国が昨年6月の国民投票でEU離脱を選択したことを受けて7年ぶりの大幅安を記録。さらなる価格の下落を恐れる投資家は慌てて投資を引き揚げようとし、一部の不動産ファンドは解約停止を余儀なくされた。一方、国民投票後にポンドが15%下落したことを手掛かりに、アラブ首長国連邦(UAE)やカタールなどの国の買い手が不動産価格の安定に貢献した。

  フィデリティの不動産調査部門責任者、マシュー・リチャードソン氏はインタビューで、「ポンドがまさに暴落した」と発言。原油価格が前年比で62%上昇したこともあり、石油でドルを稼ぐ中東の投資家が英国市場に舞い戻ってきたと説明した。

  通貨安とともに、欧州の他の主要市場と比較して手ごろ感が高まったことも、ロンドンの不動産に買い手を引きつけている。ナイト・フランクによれば、プライムオフィスの利回りはパリが3%、ベルリンが3.5%なのに対し、シティーは4.25%に上る。

原題:London Property Tempts Middle-East Buyers on Pound Brexit Slump(抜粋)

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