トランプ政権によるこの1週間の為替市場への口先介入を受け、ドルと米国債利回りの相関関係の弱まりは続きそうだ。

  米大統領選以降、財政政策による経済活性化への期待感からドルと債券利回りはほとんど前例ないペースで連動した。ブルームバーグの集計データによれば、ドルと米10年債利回りの昨年11月8日以降の相関係数は0.74。過去2年はわずか0.22だった。相関係数が1の時は両者が完全に連動することを示す。

  こうした密接な関係がこの2週間で崩れ始め、通常の水準に戻りつつある。ブルームバーグ・ドル・スポット指数は1月にここ10カ月で最大の下げを記録し、ドル強気派に痛手となった。一方、米国債利回りは2017年初めの水準付近にとどまり、債券市場の弱気派の多くはポジションを動かしていない。

  バンク・オブ・アメリカ(BofA)の米金利戦略責任者、シャイアム・ラジャン氏は、ここから上昇するのは利回りの方だと予想する。トランプ米大統領の政策目標はドル安を支持するもので、トランプ政権はドル安誘導の発言を試みるとみられることが一因だという。為替トレーダーは同政権のここ1週間の発言から打撃を受けた。トランプ大統領と政権幹部は、ドルが強過ぎると主張し、中国や日本、ドイツが通貨を切り下げて貿易上の優位性を得ていると批判した。

  ラジャン氏は「トランプ相場について考える場合、金利上昇とドル高をわれわれは支持するが、相関関係は弱まり、けん引役は金利になりつつある」と指摘。「大統領にとっては、金利上昇抑制よりもドル安を誘導する口先介入のインセンティブの方が大きい」と付け加えた。

  リフレ政策に注目する投資家にとっては海外景気の上向きという別の変化もある。ユーロ圏の1月の消費者物価指数(CPI)速報値は前年同月比1.8%上昇となり、シティグループがまとめたインフレ指標のサプライズでは群を抜く上振れだった。これを受けてドイツ国債利回りは米大統領選後の米国の利回り上昇に追随し始めている。米10年債利回りの同年限のドイツ国債利回りに対する上乗せ幅は約2ポイントに縮小。これは米国債利回りに上昇余地があることのシグナルだとラジャン氏は指摘する。その一方で、金利差縮小はドルの魅力を低めるという。
   
原題:Bond Bears and Dollar Bulls Can’t Both Win Big in Reflation Bets(抜粋)

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