イスラム教徒が多数を占める7カ国の国民の入国を一時的に禁止するドナルド・トランプ氏の大統領令を差し止めたシアトル連邦地裁の仮処分決定について、サンフランシスコ連邦高裁は、効力の即時停止を求めた米司法省の請求を退けた。移民・難民の入国に関する大統領の権限をめぐる争いは連邦最高裁までもつれ込む可能性がある。

  トランプ氏は1月27日、シリアとイラク、イラン、スーダン、ソマリア、イエメン、リビアの7カ国からの入国を90日間禁止する大統領令に署名。これを受け、ワシントン州などが提訴していた。

  シアトル連邦地裁のジェームズ・ロバート判事は3日、今回の大統領令が州の経済や住民に損害を与えることを根拠にワシントン、ミネソタ両州が訴えを起こすことは認められるとの判断を下し、大統領令の効力を停止する仮処分決定を下した。また、これらの国からの難民受け入れを120日間停止する大統領令についても差し止めた。

NYでトランプ大統領に抗議する人々
NYでトランプ大統領に抗議する人々
Photographer: Dania Maxwell/Bloomberg

  連邦高裁は、トランプ政権の訴えに対する反論を5日深夜までに提出するようワシントン、ミネソタ両州に命じ、司法省には6日までに入国禁止措置の論拠を説明する最終的な文書を提出するよう求めた。司法省のピーター・カー報道官は、同省が直ちには最高裁の判断を求めない方針を明らかにした。

  トランプ政権が入国制限の大統領令の効力を復活させられるかどうかは、国家安全保障が関わる問題をめぐっては行政府のみが権限を有すると、司法省が裁判所を説得できるかどうかにかかっている。

  ペンス副大統領は5日、フォックス・ニュースとのインタビューで、「安全保障に関して言えば、誰がこの国に入国できるか判断する権限が大統領にあることは明白だ」と指摘。「われわれはこの主張について勝利する」と語った。

「ばかげた意見」

  トランプ大統領は4日、ロバート判事について「このいわゆる判事の意見は本質的に米国から法執行を奪うものであり、ばかげており、覆されるだろう!」とツイートした。

  上院司法委員会の民主党トップであるファインスタイン議員(カリフォルニア州)は5日、FOXニュースとのインタビューで、この問題が行政府の権力を試すものとして連邦最高裁で取り上げられることは「間違いない」と指摘。「連邦裁判所には法や命令が合法・合憲であるかどうかを判断する権利がある。このプロセスは始まったばかりだ」と語った。

  ワシントン州のファーガソン司法長官は、大統領令によって同州が受ける影響には、マイクロソフトやスターバックス、アマゾン・ドット・コムなどの雇用主に与える経済的な影響が含まれると説明した。

  ミネソタ州は州内の大学に通う学生や、メイヨー・クリニックなどの医療機関に与える影響を挙げた。訴状によると、同州には大統領令の対象国からの移民が3万人いる。

原題:Trump Loses Bid to Restart Travel Ban While Court Hears Appeals(抜粋)

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