ヘッジファンド運営会社シタデルを創業したケネス・グリフィン最高経営責任者(CEO)は、社交的な人ではない。市場の動きを巧みに読む抜け目のない投資家であることを実証し、人間関係よりも電子市場の浮世離れした専門的技能が優先される金融分野では成功したが、現実世界に戻ると、仕えるのが難しい人物として有名だ。

  米マイクロソフトの最高執行責任者(COO)を務めたケビン・ターナー氏のケースが、典型的な例だ。株式や米国債、オプション、スワップのマーケットメーク(値付け業務)業務を行うシタデル・セキュリティーズのCEOとして、グリフィン氏が昨年7月に採用したターナー氏は、わずか7カ月の在任期間を経て、1月27日に突然退職した。

  シタデル・セキュリティーズは現状ではあまり知られていないが、世界中の投資家のために数々の証券の円滑な売買に貢献する強力なマーケットメーカーに育て上げたいとグリフィン氏は望んでいる。

  ターナー氏は米ウォルマート・ストアーズでレジ係から幹部に昇進。その後マイクロソフトに移籍してCOOを11年間務め、同社で報酬が最も高額な経営幹部となった。事情に詳しい関係者の1人によれば、ターナー氏のこうした素晴らしい経歴が金融分野にも生かせると考えたグリフィン氏は、ターナー氏に年間2500万ドル(現在の為替レートで約28億2700万円)の報酬を2年間支払うことを約束した。

  関係者によると、顧客とのミーティングでビジネス書で読みかじった型通りのキャッチフレーズを度々使い、気まずい雰囲気になるなど、ターナー氏が金融の世界に精通していないことがやがて露呈する。別の関係者によれば、シタデル・セキュリティーズの幹部の1人は、ターナー氏に詳細な情報を期待しないよう顧客に注意を促していたという。同氏はコメントを控えている。

  ターナー氏が去り、シタデル・セキュリティーズを強力なマーケットメーカーに育てる取り組みは振り出しに戻った。グリフィン氏は同社の利益率が「30%を上回らなければならない」という目標を設定し、新CEOにマーケットメークのグローバル責任者だったペン・チャオ氏を就けた。

  グリフィン氏に登用されても短期間でシタデルを辞めることになった幹部は元メリルリンチのロヒット・デスーザ氏をはじめ、過去に何人もいる。グリフィン氏は昨年、「私のビジネスには緊張が欲しい。緊張は変化をもたらす。進化し成功するには変化が必要だ。私は決して満足しない」と話していた。ターナー氏は入社から125日目に退職したが、最後の日にこれを痛感したことだろう。

原題:Why Citadel’s Ken Griffin Can’t Keep His Star Hires
Citadel’s Jeff Runnfeldt Leaves After Running Stock Group (1)(抜粋)

最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE