銀行が融資に関するリスクへのエクスポージャーを減らすための複雑な取引が、一部の大手投資銀行にとってのビジネス機会になっている。一方、新たなシステミックリスクの火種になることを懸念する声もある。

  野村ホールディングスやクレディ・スイス・グループはヘッジファンドが他の銀行からいわゆる「キャピタルリリーフ債」を購入するための資金を貸し付けていると、事情に詳しい関係者が匿名を条件に明らかにした。高利回り証券への投資家需要が背景にあり、野村やクレディ・スイスはそうした証券の売買を容易にもしているという。

  スペインのサンタンデール銀行や英ロイズ・バンキング・グループなど世界の銀行は貸倒損失に備えて保持しなければならない資本の額を減らすためにこうした証券を発行している。リスク移転のためにデリバティブ(金融派生商品)を利用した複雑な証券の市場拡大は、世界金融危機を増幅させた合成債務担保証券(CDO)との類似から懸念を呼ぶ。

  SCIOキャピタルの最高投資責任者(CIO)グレッグ・ブランチ氏は「銀行が最近、キャピタルリリーフ債の取引に前向きになっているもようだが、それを歓迎する」と述べた。「投資家はこれについてリスクを辞さないようだが、用心はした方がいい」と付け加えた。

  事情に詳しい関係者によると、野村は欧州でこうした証券に投資するヘッジファンド向け融資で大手の1社。野村とクレディ・スイス、ドイツ銀行は合成証券化商品を購入する投資家に2016年末までに合わせて約15億ドルを融資した。野村とクレディ・スイスは複数のヘッジファンドが約7億ドル相当の証券を互いに売買するのも助けたと、関係者の1人が述べた。

  3行は関与についてコメントを控えた。

  ヘッジファンドは借り入れた資金を使って投資することで生じ得る利益を増やすことができる。関係者によると、こうした融資の金利はロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に最大4.5ポイントの上乗せとなる。ブルームバーグ・バークレイズ欧州総合指数によれば、欧州の投資適格社債の利回りは平均1%。

  こうした証券はリスクを移転するだけで減らしはしない上に、システム内の相互の絡まりあいを密にするとともに透明性を低下させるとの批判がある。特注の商品で流動性は低く、銀行は他行の融資のリスクを負うことにもなりかねない。

原題:Banks Make Unwanted Risk Lucrative With Bets for Hedge Funds (1)(抜粋)

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