鉄鋼3社の決算が2日に出そろい、今期(2017年3月期)の業績予想では明暗が分かれた。海外事業の損益が改善する新日鉄住金と、原料炭など在庫評価益の計上が寄与するJFEホールディングスの2社が今期の純利益予想を上方修正した。一方、中国の建機事業で売上債権の引当金を積み増した神戸製鋼所は業績を下方修正し2期連続の赤字に陥る。

  新日鉄住金は2日、17年3月期の連結純利益利見通しを従来予想の600億円から800億円に修正すると発表した。栄敏治副社長は会見で「立ち上げ段階にあったプロジェクトが巡航速度で動き出したり、海外市況が改善していることから、米州やアジアなど海外での鉄鋼事業の損益が好転した」と説明。従来400億円と見込んでいたグループ会社の損益改善による増益効果が570億円に達する。

  子会社化を目指す日新製鋼の株式公開買い付け(TOB)実施により、すでに保有している株式の評価替えに伴う利益も約100億円見込む。

  1月に起きた大分製鉄所厚板工場の火災事故の影響では、修繕費などで100億円の特別損失を今期に計上するほか、同社の他の製鉄所で生産を振り替えるためのコスト増により100億円の経常減益要因を見込む。9月の復旧を予定しているため、来期も100億円の経常減益要因となる。
 
  JFEHDは今期純利益を従来予想の150億円から500億円へと上方修正した。原料炭の価格上昇を受けて在庫評価益が発生したことが主因。今期の鉄鋼事業の経常損益予想を従来の150億円の赤字から250億円の黒字に修正した。ただ、評価益といった一過性の影響を除いた場合の鉄鋼事業の経常損益はトントンになる見通しだという。

  岡田伸一副社長は原料価格の高騰で、鋼材販売価格から原料費を引いたスプレッドとも呼ばれる利ざやは「さらに悪化しており、依然として厳しい収益環境は継続している」と指摘。「鋼材価格は国内外ともに原料の上がりには追いついていないが、それなりに少しずつ回復している」として、「評価益ではなく実態的な利益を上げていきたい」と述べた。

  神戸鋼は今期純損益を従来の損益トントンから400億円の赤字へと下方修正した。油圧ショベル需要の低迷が続く中国の建機事業で貸倒引当金など310億円の損失を10-12月期に計上した。業績の大幅な下方修正を受け、社外を除く取締役の月額報酬を当面5ー10%削減、川崎博也社長と一部取締役についてはさらに月額報酬の10%を3カ月間返上する。

  16年4ー12月期の業績は、油ガス田開発で使用する利益率の高い鋼管の売り上げ減少や原料炭価格の急騰でスプレッドが悪化するなどして新日鉄住金とJFEHDの経常利益、純利益はともに減益だった。引当金を計上した神戸鋼は赤字となった。

【鉄鋼3社の業績一覧】

      売上高    経常利益     純利益
新日鉄住金  33,320(-10%)   1,085(-41%)   594(-61%)
  45,500(-7.3%)   1,300(-35%)   800(-45%)
JFEHD  23,117(-9.3%)     442(-30%)    333(-11%)
  33,200(-3.3%)     700(9.0%)    500( 49%)
神戸製鋼  12,172(-10%)    -260(---)   -365(---)
  16,900(-7.3)    -300(---) -400(---)

(注:単位は億円、カッコ内は前年同期比、上段が4-12月期実績、下段は17年3月期予想)

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