安倍晋三首相は3日、トランプ米政権の閣僚として初めて来日したマティス米国防長官と官邸で会談した。マティス氏は沖縄県・尖閣諸島について米国の対日防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲との認識を表明。安倍首相は防衛力を強化し、日本が果たし得る役割の拡大を図る考えを示した。外務省が概要をプレスリリースで公表した。

  安倍首相は会談冒頭、「日米同盟が揺るぎないということを内外に示していくことができることを期待しているし、また確信している」と発言。これに対し、マティス氏は日米安保条約第5条は米国にとり重要で、この方針は5年、10年先も変わらない、と語った。

マティス米国防長官
マティス米国防長官
Photographer: Olivier Douliery/Pool via Bloomberg

  外務省によると、両氏は日米同盟の一層の強化に向け、共に取り組みを進めることで一致。マティス氏は、米国の「核の傘」による抑止力で日本の安全を保障する「拡大抑止」を含めて、同盟上のコミットメント(関与)を再確認すると発言した。安倍首相は地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日本は防衛力を強化し、自らが果たし得る役割の拡大を図っていく方針を示した。

  さらに、北朝鮮の核・ミサイル開発については断じて容認できず、日米、日米韓の安全保障協力により、抑止力・対処力を高めていくことが重要であるとの認識で一致。東シナ海、南シナ海情勢についての懸念も共有した。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)は名護市辺野古への移設が唯一の解決策であることも確認した。マティス国防長官は4日には稲田朋美防衛相と初めての日米防衛相会談を行う予定。

  マティス氏は就任後初の外国訪問に北朝鮮の核、ミサイル開発の脅威にさらされている東アジアを選んだ。2日には日本に先立ち、韓国を訪れている。トランプ大統領は就任前から日本など同盟国に米軍駐留経費負担を増やすよう求めているが、萩生田光一官房副長官によると、1月28日に行った安倍首相との電話会談では具体的な言及はなかった。

狂犬

  マティス氏は退役海兵隊大将で米海兵隊総司令官や中央軍司令官を経験。「狂犬」の異名をとり、共和党のマケイン上院軍事委員長から「米国屈指の熟練した軍人思想家」と称賛されたことがある。

  自民党の小野寺五典元防衛相は1月31日のブルームバーグのインタビューで、東アジアでは「北朝鮮、中国、さまざま問題がある」としてマティス氏の来日は「そういう意味では大変有効な訪問になる」と評価。在日米軍の駐留経費については、マティス長官は日本の負担について「当然理解している」ため、負担増で直接的な議論にはならないとの見方を示していた。

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