2日の東京外国為替市場のドル・円相場は下落。米国の早期追加利上げ観測が後退していることに加え、10日に予定されている日米首脳会談をめぐる両国の為替・通商政策に対する不透明感が、ドル売り圧力となった。国内株価が反落し、日本の長期金利が約1年ぶりに0.1 %を突破して日米金利差が縮小したことも重しとなっている。

  午後3時25分現在のドル・円は前日比0.5%安の1ドル=112円67銭。朝方に付けた113円36銭を日中の高値に水準を下げ、一時は112円48銭までドル安・円高が進行した。主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.3%安で推移している。

  FXプライムbyGMOの柳沢浩チーフアナリストは、ドル・円について、「来週の日米首脳会談で日本の立場について、安倍晋三首相がトランプ米大統領を説得できるのかどうかに対する漠然とした不安がある」と説明。また「米連邦公開市場委員会(FOMC)で3月利上げのヒントはなく、現段階では年3回より年2回の利上げの可能性の方が高まった感じ。その分、ドルの上値が重くなったようにもみえる」と語った。

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  安倍首相は2日、衆院予算委員会で、日米の為替問題について、財務長官と財務相で議論なされるべき。首脳会談でやり合うのはふさわしいとは思っていないと発言。大統領やトップレベルに上げるということは政治問題化することであり、為替は政治問題化することではないとの見解を示した。為替介入に関しては、緊急対応はあり得るが安倍政権で実施していないと述べた。

  この日の東京株式相場は急反落。日経平均株価は前日比233円50銭(1.2%)安の1万8914円58銭と1万9000円台を割り込んで取引を終えた。一方、日本の長期金利は約1年ぶりに0.1%を上回る水準に上昇し、日米金利差が縮小している。

  バンク・オブ・アメリカ外国為替本部の岩崎拓也営業本部長は、「取りあえず、米金利も下がってるし、日経平均株価も下値を切り下げているという中でのドル・円の動き」と指摘。ドル・円は1月31日に112円08銭の下値を付けたものの、1日に114円台回復に失敗した中で、「オプションを見ても、今回のトランプ発言には反応しており、リスクリバーサルは短期から長期にかけて円コールオーバーが拡大。下値リスクが意識されている」と述べた。

  1日の米国市場では、ドル・円は良好な経済指標を好感して一時113円95銭までドル高・円安が進んだ後、FOMCの結果を受けて113円を割り込む場面があった。FOMCは同日、政策金利を0.5-0.75%のレンジに据え置くことを決定。声明文では、個人や企業の信頼感改善に言及し、インフレ率は中期的に2%に上昇していくとの見通しを示した。

  SBI証券市場金融部の相馬勉部長は、「FOMCは時間をかけて金利を上げていく方向。それに見合った経済指標も出ている。基本的にはそれでオーケーなのだが、トランプ米大統領から何が出てくるか分からないので、長期的な絵を描きにくい」と説明。「米国が保護主義なら円高・ドル安になるが、レパトリ(本国への資金回帰)や減税なら円安・ドル高になるのでどれに反応していいのか分からない」と語った。

ドル紙幣
ドル紙幣
Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートが1日に発表した1月の米民間部門雇用者数は24万6000人増加となり、市場予想(16万8000人増)を上回った。また、米供給管理協会(ISM)が発表した1月の製造業総合景況指数は56と2014年11月以来の高水準となった。3日には1月の雇用統計が発表される。ブルームバーグ調査では非農業部門雇用者数は17万5000人増加が見込まれている。昨年12月は15万6000人増だった。

  豪ドルは、昨年12月の貿易黒字幅が過去最大となったことを受けて上昇。対ドルでは同時刻現在、0.7%高の1豪ドル=0.7641米ドルとなっている。一時0.7652米ドルと昨年11月10日以来の豪ドル高値を付けた。

  ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店の鈴木恭輔為替資金営業部長は、「豪ドルは貿易収支が予想を上回ったことを受けて、1月24日高値(0.7609ドル)を超えたことでストップロスの買いが入ったのではないか。上方向に目立ったポイントも見当たらず、豪ドルはしっかりの動きが続きそうだ」とみる。

  ポンド・ドル相場は同時刻現在、0.1%高の1ポンド=1.2672ドル。一時1.2680ドルまでポンド高・ドル安に振れた。英中銀のイングランド銀行は2日に金融政策会合を開き、四半期物価報告を発表する。ブルームバーグ調査によると金融政策は現状維持の見通し。ユーロ・ドル相場は0.2%高の1ユーロ=1.0794ドル。

  SBI証の相馬氏は、ユーロ・ドルについて、「英国の欧州連合(EU)離脱という政治的な問題はあるものの、ドイツなどは絶好調で経済は悪くない。昨年末以降、ドルが強いか弱いのか分からない中で、ユーロにシフトせざるを得ない。これまでユーロは売られていたので買われやすい面もある」と語った。

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