トランプ米大統領も乗り気になりつつあるとされる共和党の「国境調整税」構想が実行に移されれば、米自動車市場の勢力図を一変させる可能性がある。フォード・モーターに有利に働く一方、米国外での生産への依存が大きいトヨタ自動車などには逆風となる。

  下院共和党指導部の案では、米国に輸入される自動車に課税する一方、米国から輸出される車は課税が完全に免除される。トランプ氏は当初、同案は複雑すぎるとの見解を示していたが、スパイサー大統領報道官は先週、同案を検討中であり、これによる税収をメキシコとの国境沿いの壁建設費用に充当できる可能性があると語った。

  こうした税制改正は、フォードやホンダ、ゼネラル・モーターズ(GM)など米国への輸入が少ないメーカーにプラスとなる。一方、スポーツタイプ多目的車(SUV)「RAV4」をカナダから出荷し、高級車「レクサス」を日本から輸出しているトヨタには痛手となり、米国生産がゼロのマツダなどにはさらに大きな打撃を与える。

国境調整税はホンダに有利か
国境調整税はホンダに有利か
Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  フォードのマーク・フィールズ最高経営責任者(CEO)は2016年決算発表後のアナリストとの電話会見で、国境調整税の提案は同社にとって「非常に興味深い」ものだと指摘。「理由は米国で自動車を最も多く生産しているのは当社だからだ。当社は輸出でトップだ」と語った。

  調査会社LMCオートモーティブの1月のリポートによれば、フォードが米国内で昨年販売した車の約79%は米国で組み立てられた。この比率は電気自動車メーカーの米テスラモーターズに次ぐ2位。3位はホンダの68%、4位はGMの65%だった。

  国境調整税がもたらす全体的な影響を予想するには、さらなる詳細が明らかにされる必要がある。一部のエコノミストは、導入されればドル高要因になると予測。ドルの上昇が輸入業者への打撃を和らげる可能性もある。また、自動車メーカーが米国内での自動車組み立てで輸入部品にどの程度依存しているかや、北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉なども影響の度合いを左右する要素となり得る。

原題:Ford Seen Reaping Edge Over Toyota in U.S. Border Tax Overhaul(抜粋)

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