トランプ米大統領から日本を名指しした批判が相次いでいるのを受けて、日本政府が対応に追われている。安倍晋三首相は日本が円安誘導しているとの発言に反論する一方で、米国の雇用創出やインフラ整備に協力する姿勢を国会で表明。菅義偉官房長官はトランプ氏の発言に日本の為替政策は制約されないとの考えを示した。

  トランプ大統領は1月31日、医療品メーカーとの会合で通貨切り下げで優位に立っている国があるなどとして、中国や日本がマーケットを手玉に取っていると発言。他国が自国通貨の下落を誘導するのを米国は実験ダミーのように黙って見ているだけだと述べた。トランプ大統領は先週、仮定を置きながらも日本の自動車貿易は「不公平だ」との発言もしている。

  安倍首相は1日午後、衆院予算委員会でトランプ大統領の通貨安誘導発言に関連し、日本は「2%の物価安定目標を到達」するために、適切な金融政策を日本銀行に委ねており、「円安誘導という批判は当たらない」と言明。必要なら米側に日本の姿勢を説明する考えを示した。

  また、菅官房長官は同日午後の記者会見で、トランプ大統領の発言で日本の為替政策が制約を受けるのではないかという見方があると問われ、「そういったものは全くあたらないと思う。わが国政府としては、為替市場の動向については緊張感を持って注視をし、必要な時はしっかりと対応する」と語った。

  これに先立ち、浅川雅嗣財務官は同日午前、記者団に対しトランプ氏の発言について、「日本の金融政策はデフレ脱却という国内政策目的のためにやっている」のであり、「為替を念頭に置いたものでは全くない」と述べた。その上で、「為替相場はマーケットで動いている。操作をしている訳ではない」と反論。日本はしばらく為替介入もしていないとも話し、真意について「もう少し説明がないと分からない」と述べた。

  海外市場で一時1ドル=112円台前半まで上昇した円相場は日本政府高官の発言後113円台での取引となっている。

  このほか、安倍首相は1日午前の衆院予算委で、10日に予定されている日米首脳会談では日本がこれから「米国の産業界全体の生産性の向上」や「競争力の強化」、「雇用」にどのような貢献をしていくのか、トランプ氏が示しているインフラ整備に「日本がどういう形で協力していくことができるか」など「大きな枠組みにおいてしっかりと話をしていきたい」と述べた。

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