1日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=113円台前半に反発した。前日の海外市場でトランプ米大統領の為替発言を受けて昨年11月以来の水準までドル安・円高が進んだが、この日は輸入企業のドル買いなどを中心に水準を切り上げた。

  午後4時20分現在のドル・円相場は前日比0.4%高の113円24銭。朝方に112円64銭まで売られたものの、午後に入り一時113円37銭まで上値を伸ばしている。日経平均株価が寄り付き直後に0.7%安まで下げた後、0.6%高と反発して引け、ドル・円を下支えした。ブルームバーグ・ドルスポット指数は0.2%高で推移している。

  三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニット為替セールスチームの西田朋広主任調査役は、ドル・円のじり高について「輸入企業のドル買いなどが出た」と指摘。その上で、「市場のムードとしても112円台の底堅さがあらためてイメージされており、買い戻しが出ている」と説明した。

  トランプ米大統領は1月31日に開かれた医薬品メーカーとの会合で、他国は通貨切り下げで優位に立っているとの見方を示したほか、中国と日本はマーケットを手玉に取っており、われわれはなす術もないように座視していると述べた。また、トランプ政権が新設した国家通商会議(NTC)のナバロ委員長は英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューで、ドイツがユーロの「大幅な過小評価」を利用していると発言した。

  一方、財務省の浅川雅嗣財務官は1日、記者団に対し、日本の金融政策はデフレ脱却という国内政策目的のためにやっているのであって、為替を念頭に置いているものでは全くないと説明。2月10日にトランプ米大統領との初の日米首脳会談に臨む安倍晋三首相は衆院予算委員会で、日本の金融政策について円安誘導という批判は当たらないとした上で、為替の問題を含め経済、貿易に関して日米間でよく意思疎通を図ることが重要と述べた。

  ドイツ証券外国為替営業部の小川和宏ディレクターは、トランプ大統領の為替をめぐる発言について「市場は意外と冷静。日銀の緩和的なスタンスに変わりはない上、投資家が米経済が強くなる前提でドルの押し目を拾うという流れも変わっていない」との見方を示した。

  ユーロ・ドル相場は同時刻現在、0.1%安の1ユーロ=1.0783ドル。前日のニューヨーク市場では一時1.0812ドルと昨年12月8日以来の水準まで上昇した。IG証券の石川順一シニアFXストラテジストはユーロについて、「FT報道でのナバロNTC委員長の発言が効いている」と指摘。欧州で景気回復を示す指標が出ており欧州金利に上昇圧力が加わる中で、「トランプ政権は円安批判だけでなく、ユーロ安も批判しているので、ユーロの買い戻しが入ってもおかしくない」と語った。

  ただ、ドイツ証券の小川氏は「タカ派的な大統領令の頻発で、この間の議会との関係に不透明感が増している。このため、経済対策の実現性や時間軸が見えなくなってきている」とし、「時間の経過に耐えられなくなって、株や金利の上昇が緩やかになり、ドルロングのポジション調整が進むという感じになっている」との見方を示した。

  この日の海外時間には、1月の米供給管理協会(ISM)製造業景況感指数と米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えている。ブルームバーグがまとめたISM指数の市場予想中央値は55.0と、2014年11月以来の水準への上昇が見込まれている。FOMCでは経済予測やイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見は予定されておらず、声明文のみの公表となる。

  三井住友信託の西田氏は「堅調な結果が予想されている米ISMはドル買いになりやすい。仮に予想を下回ったとしても、昨日の安値を底割れることはないだろう」と指摘。FOMCについては「景気認識で楽観的な見方が示されるか注目している」と述べた。

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