石炭火力発電で国内最大の電源開発(Jパワー)は、同社初となる大型の液化天然ガス(LNG)を燃料とした火力発電所への参入を検討している。火力発電所を保有する企業を対象とする省エネルギー法上の発電効率基準を満たすため、石炭火力に比べて発電効率が高く温室効果ガスの排出量が少ないガス火力の割合を増やすことが狙い。

  Jパワー執行役員の菅野等経営企画部長は、省エネ基準への対応について「石炭火力はLNGのコンバインドサイクルに比べるとまだ効率が悪く、そのハードルが厳しいのは事実」と述べた。主力事業である石炭火力の建て替えやバイオマス燃料の活用による効率向上だけでなく、大型LNG火力への参入で発電効率の基準達成を目指す。

  省エネルギー法で発電効率向上に向けた措置が2016年4月に施行され、発電会社は30年度までに火力発電効率を44.3%以上に高めることが求められた。15年度に40.4%だったJパワーがLNG発電を検討しているのは、商用化されている石炭火力技術で最も効率が高く、主流となっている超々臨界圧(USC)の発電効率が40%前後であるのに対し、ガス火力で主流となっている二つのタービンを組み合わせたコンバインドサイクルは50%を上回るためだ。

  同社は子会社を通じて千葉県で小型ガス発電設備(10万キロワット)を2基保有しているが、本格的に大型のLNG発電に参入するにはLNGの受け入れ基地や導管網などのインフラ整備が必要となる。電力需要の多い大都市圏でインフラ設備を保有している企業との提携も含めて、参入方法を検討しているという。

バイオマス混焼

  主力事業の石炭火力発電の効率化に向けては、老朽化した竹原火力発電所(広島県)と高砂火力発電所(兵庫県)をUSCに建て替える。次世代技術として開発中の石炭ガス化複合発電システム(IGCC)を利用した大崎クールジェンプロジェクト(発電効率43-44%)の実証実験を3月に始める。2年間の実証結果を踏まえ、より大型の商用発電所の稼働を目指している。

  省エネルギー法の発電効率の計算方法では、石炭にバイオマス燃料を混ぜて燃やした場合、投入するエネルギー量からバイオマス分を控除できるため、発電効率を上げることができる。

  このため、石炭火力の効率向上の一環として、日本国内に7発電所15基(計800万キロワット超)ある自社が保有する石炭火力発電設備の全てにバイオマス燃料を混ぜて燃やせるようにする。既存の火力発電所でのバイオマス燃料の混焼比率を3%程度、20年に稼働する竹原火力の新1号機は、専用設備を導入して混焼比率を10%まで引き上げる計画。

石炭火力、「座礁」しない

  オックスフォード大学スミス企業環境大学院が昨年まとめた試算によると、日本国内で約6兆円相当の石炭火力発電設備が座礁資産として不良資産化し、Jパワーは東京電力ホールディングスに次いで2番目にこうしたリスク資産が多い。ここでいう座礁とは、主に環境規制の強化に伴い、競争力を失った石炭火力発電が早期に運転停止を迫られ、資産価値が損なわれることを意味する。

  菅野氏はこの試算でJパワーの計画段階の資産として挙げられている410万キロワットのうち150万キロワットの計画は存在せず、実際の償却期間は試算よりも短いなど、「一部事実誤認がある」との認識を示した。同社の石炭火力発電資産については、「座礁するとは思っていないし、もし座礁するなら建設しない」と述べた。

  世界的に化石燃料事業のポートフォリオが大きい企業からの投資を引き揚げるダイベストメントをはじめとして石炭火力に対する風向きは厳しい。菅野氏は、そういった価値観があるのは認めた上で、「資源のない国で一つの資源、オプションを切り捨てていくのは非常におかしい」と指摘。同社としては、石炭だけでなく、ガス火力、原子力、再生可能エネルギーも含めて、全方位的に取り組んでいく構えを示した。同社の再生可能エネルギーの出力規模は水力と風力でそれぞれ国内2位。

  

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